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マクドナルド低迷の本質的な原因


今年6月にようやく改善の兆しが見えたものの、結局マクドナルドの売上げは13ヶ月連続で前年割れとなりました。

■マクドナルド売上高、14カ月ぶり増 低価格商品拡充で
http://www.asahi.com/business/update/0610/TKY201306100425.html

大西宏氏「マクドナルド一人負けの理由〜敵は外ではなく内だというのが相場」によると、モスバーガーは売上げを維持していますので、業界全体として低迷しているわけではなさそうです。




その原因は新商品の不発、価格戦略の失敗…などといろいろ言われていますが、それらの根底には「顧客経験」発想の欠如、があるのではないかと僕は考えています。

過去の投稿でも顧客経験の考え方をご紹介してきましたが、これは、下図のように一連の流れ=「線」の発想でサービスを考えていくものです。どこか1ヶ所がすばらしかったとしても、他で失敗すれば台無しになりえます。



一方で、マクドナルドの取り組みの多くは「点」の発想であり、近視眼的です。

たとえば「商品を60秒で提供する」というキャンペーンを打ち出したことがあります。迅速なサービス自体はありがたいのですが、そのために商品の見栄えが悪くなってtwitter上で拡散してしまいました。このようにピンポイントな改善に着目しすぎ、後工程にまで想像が及ばなかったわけです。

■【やはり無理があった】マクドナルドの「ENJOY!60秒サービス」が酷い
http://togetter.com/li/433935



また、昨年10月には注文時の対応時間削減のため、メニューを見せないようオペレーションを変えました。そもそも意味がよく分からない策でしたが、買いたかった商品が見当たらずに店員への質問が増える、視力の低い人が困る、といったマイナス作用もあったようです。このように顧客の立場で発想するスキルの低さも、マクドナルドの特徴です。

■マクドナルド、カウンターのメニューが消えた理由
狙いは顧客満足向上、広がる戸惑いの声

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK31011_R31C12A0000000/

また、最近では「1000円バーガー」が発表されました。数量限定とのことなので成功するにしても失敗するにしても直接の大きなインパクトはないのかも知れませんが、私はマックに「1000円分の価値」が提供できるのか疑問です。「1000円分の味」は提供できるかもしれませんが、「1000円分のexperience(経験)」は提供できないと思うからです。



セットでは1200円ほどするようですが、もし銀座あたりで1200円のランチを食べれば、それなりに洒落た店内で丁寧な接客が受けられます(ハズレの店もありますが)。また、ホテルのラウンジで1000円のコーヒーを飲めば柔らかいソファに座れて丁寧に接客されてくつろげます。

このように、顧客は商品だけではなく、それをとりまく前後周囲の環境をふまえて商品の価値を期待したり評価したりしています。いくらハンバーガーの味がよかったとしても、低価格高効率のオペレーションに慣れきったマックの店員と店舗にそれらと同等の経験を提供するのはまず不可能です。

このように、「近視眼的で、トータルの顧客経験として設計できていない」「顧客視点で考えるスキルや習慣がない」ことが、マクドナルド社の本質的な問題ではないかとの仮説を持っています。過去のニュースやインタビュー記事を見ても、「新商品」「値下げ」「無料プレゼント」といった言葉が多く、「顧客(視点で考える)」といった言葉が出てくる回数が、他企業に比べてもやたら少ないのです。

(最近は減りましたが)マックの内装が「赤」を基調にしているのは「落ち着きのない色にして回転率を上げるため」という話を聞いたことがありますが、そのようにマックは「客をいかに捌くか」「買わせるか」をひたすらに考えてきた会社であり、そのような歴史的文脈ゆえに「いかに喜ばせるか」「感動させるか」を考えるスキルを組織的に培ってこなかったのかもしれません。



今日掲載されたこちらの記事。今回も突っ込みどころが多いのですが、それはともかくとして原田社長は「(レストランは)ピープルビジネス」という言葉を使っています。それであれば、「顧客」というピープルにもぜひ着目していただきたいところです。

■「今回の業績不振は“計算済み”」マック原田CEO、これまでの誤算と未来を語る(上)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130627/250314/

変化球だけど品質も兼ね備えた新商品が増えてきた件


というわけで話題ののぺヤングタラコ味を食べてみたのですが…



焼きそばというよりもタラコスパゲティに近いですが、意外と美味しかったです。

そして、ぺヤングは「和風焼き蕎麦」味というのも発売しており、こちらもそのインパクトからあちこちで口コミされていましたが、味もなかなかでした。このように、ペヤングは「珍しさ」と「品質」を両立させているわけです。

そういえば、ガリガリ君のコーンポタージュ味も発表時は反響がありましたが、「食べてみると意外と美味しい」と評判でした。



一方で、セブンイレブンのカルボナーラやつけ麺などの冷凍食品が非常に美味しいと話題ですが、こちらは奇をてらわない直球商品と言えます。

■安くて美味しい「セブンイレブン 冷凍食品」の評判まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2134923418880915301

こう考えると「直球/変化球」および「品質(味)」のマトリックスが作れます。「変化球で品質が低い」代表格としては、シソ味やキュウリ味など一連の変り種ペプシシリーズですね(笑)。まあ、これらは明らかにネタ商品なので「不味い」と本気で怒る消費者はいませんし、プロモーションとしても成功だったと思いますが…。



「直球でマズい」のは私の体験では「松屋のキムカル丼」です。1年ほど前に食べたのですがあまりのマズさに悲しくなりました。よくこれで責任者がOK出したなあと思う味でした。実際、(以下の記事にもあるように)すぐに販売を止めたようです。最近では改良されているそうですが怖くて手が出せません…。

■松屋フーズ:リニューアルした牛カルビメニューを販売終了、消費者の「肉が固い」との声に改善が必要と判断
http://news.livedoor.com/article/detail/6661776/

やはり大切なのは品質ですが、このように「変化球による話題作り」も重視される時代になってきたように感じます。もはや毎年恒例になった「エイプリルフール広告」などもそうですが、ダニエル・ピンクが指摘したように「マジメさ」「一生懸命さ」以上に「遊び心」が求められる時代がやってきているのであり、そこがおもしろくもあり難しくもあります。

商品企画やプロモーションを担当されている方はご参考ください。


関連記事:これからの時代のプロモーションに求められる「遊び心力」
http://redwing-don.jugem.jp/?eid=974

超訳「顧客経験マップの作り方・使い方」(後編)


前回の続きで、「CJ(カスタマージャーニー=顧客経験マップ)の効果的な使い方」についての話です。

CJがテーマではありますが、「関係者の協力の獲得」や「優先順位の付け方」など、顧客経験以外のコンサルティングや社内改革を進める際にも参考になるヒントがちりばめられています。


【第3章 カスタマージャーニーの価値を最大化する3つの視点】

CJを作っただけで燃え尽きてしまうプロジェクトがあるが、もちろんCJを作るだけでは組織や顧客経験は改善されない。以下では、インタビュー内容をもとに効果的なCJの使い方について、3つの視点からベストプラクティスを紹介する。

(1)CJを幅広く共有する

(2)洞察に基づいて改善のアクションをとる

(3)長期的に学習し続ける





(1)CJを幅広く共有する
 全社的な改善に進むためには、CJからの洞察(発見)を社内全体の関係者と共有する必要がある。

改善プロジェクトを通じて関係者を巻き込む

 一般的に企業の役員クラスは、自分が深く関与しているプロジェクトほどそれに賛同する傾向があり、だからこそ企業は意思決定権限を持つ彼らをプロジェクトに積極的に巻き込む必要がある。

 あるコンサルティング会社は「顧客と役員による共同セッション」を開催し、現状および理想のCJについて議論することで関係者を巻き込んでいくべきだと主張している。ある大手消費財メーカーの顧客経験担当役員は、調査結果(悪い結果も含め)を定期的に周囲に共有していくことで、社内がプロジェクトの主張をより受け入れてくれるようになったと報告している。また、検索サービスのQuaero社は、内部の関係者から積極的に意見を収集したり、改善策の優先順位づけについて随時助けを求めたりしている。

改善点だけでなく、「強み」にも焦点を当てる

 CJは改善が必要な領域を特定してくれるるが、一方で悪い指摘ばかり並んでいても関係者には苦痛である。彼らがプロジェクトをより受け入れやすくするために、CJのリーダーは自社の「強み」にも焦点を当てなければならない。
 
 カールソンマーケティング社では、CJ上に自社の優れた領域を示すために青いリボンのアイコンを使うようにしている。また、ある企業では星マークを使っている。自社の顧客経験が改善されるたびに、リボンや星マークが増え、弱みの数が減っていくのを関係者は楽しみながら見ることができるのである。

CJの考え方を企業の文化に適合させる

 多くの企業は顧客経験の観点から自社を評価することに慣れていない。これを受け入れてもらうためには、CJを企業の既存の考え方や慣習と結び付けていく必要がある。たとえばあるコンサルティング会社は、顧客セグメンテーションを重視している企業を支援したことがあるが、その際にセグメンテーションを否定することなく、それを補完する位置づけでペルソナを導入した。同様に、ある大手技術系企業では以前よりNet Promoter(顧客のロイヤルティを測る指標の1つ。下記参照) に力を入れていた。そこで、CJ担当者はNPSの観点から分析結果を位置づけたり、NPSとCJを組み合わせるなどの工夫をした。

顧客データに生命を吹き込む

顧客データやCJに命を吹き込むために、プレゼンテーションを工夫する必要がある。ある企業ではプレゼンに際して、顧客の声を直接に示してインパクトを与えた。具体的には製品を使用中のユーザーの動画や、コールセンターにおける通話記録を用いたのである。また、ある大手ソフトウェア企業では、企業のミーティングに実際の顧客を参加させている。





(2)洞察に基づいて改善のアクションをとる

改善を実現するためにはトップの協力を引き出すことと、改善機会の優先順位づけをしっかりと行うことが求められる。

トップからのサポートを活用する/拡げる

 ヨーロッパの大手通信企業では、マネージャーに顧客と接する時間を増やしたり、顧客視点の指標を用いて業務を測定することをCEOからのトップダウンで指示している。他部門からの抵抗を減らすためにも、こういったレベルのサポートがほしい(ある大手製造業の役員は一部のマネージャーからの抵抗を受け、プロジェクトへの協力要請を断られたことがあると報告している)。

 なお、インタビューにおいては複数の方が、いかにCJが経営者の協力を取り付ける手段として役に立つかを語ってくれた。また、彼らはまずはパイロットプロジェクト(実験的な小規模プロジェクト)からはじめて、プロジェクトの価値を早期に示すことを推奨している。

問題のある「真実の瞬間」を見つける

 たしかにCJは、顧客ニーズを満たせていない領域がどこなのかを教えてくれる。しかし、問題点の羅列だけを見ていても、どれがより改善に値するかが分からない。企業は、より重要性の高い接触の瞬間に着目しなければならない。優先順位をつけるためには、「現在の品質レベル」と「顧客にとっての重要度」の2軸マトリックスによる分析が有効である。その評価についてはさまざまな方法が考えられるが、単純に数名の顧客に(品質と重要度について)点数を付けてもらうのでもよいだろう。




顧客価値/企業価値のもとに改善機会を優先づけする

 前項によって優先度の低い改善点を取り除いても、まだ長い改善点リストは残っているかも知れない。さらに絞り込み、顧客と企業の双方に価値のある改善点を見つけなければならない。価値の基準としては、顧客視点では「不満の軽減度合い」や「待ち時間の削減度合い」が、企業視点では「売上への影響」「コストへの影響」「競合との差別化」などが考えられる。

 ある大手技術系企業では、付加価値、労力、リスク、時間、コスト、複雑さの観点から各プロジェクトを評価している。また、IBMは狩野モデルを用いている。

短期的な成功を収める/早く投資を得るするために分かりやすい指標を使う

 インタビューによると、大手企業ではいくつかのシンプルな改善が、短期に費用に見合った効果をあげることがあるという。あるソフトウェア企業では、インストール説明書を見直すようなちょっとした改善でも効果を上げ、インストールを諦めたユーザーやコールセンターへの問合せが減ったという。

 また、デロイトコンサルティングは、早期にプロジェクトの成果を見せるために「ハード」な指標を使うことを推奨している。たとえば、顧客経験改善プロジェクトでは「顧客の不満の低減」や「固定客化」を目的とするが、そういった「ソフト」な指標はすぐには測定しづらい。一方で、たとえばコールセンターでの「平均通話時間」などはすぐに測定できる。こういった指標が改善されたことを示して、プロジェクトとしての最初の成果をアピールするわけである。





(3)長期的に学習し続ける
CJは、限定的なプロジェクトではなく、継続的な戦略的構想として扱われることで価値が最大化される。以下のような取り組みによってCJを長命化させることができるだろう。

CJの長期的な責任者を任命する

 コンサルティング会社は繰り返しCJ作りを指導するが、コンサルタントが去ったとたんに続かなくなってしまうことがあるという。一方で、ある大手農機メーカーや大手消費者サービス企業では担当者を決め、しっかりと戦略立案プロセスに組み込み、定期的に振り返りを行っている。また、あるヨーロッパの通信企業でも、継続的に行われている「顧客の声」プログラムの中でCJを管理している。

顧客からのフィードバックや組織としての進捗度をモニターし続ける

 CJは定期的にアップデートされ、妥当性を確保し続ける必要がある。いくつかの企業では、CJを「顧客経験データの土台」とみなし、新鮮な顧客からのフィードバックや指標値を継続的にCJに追記している。マルベリーコンサルティングが開発したソフトウェアでは、顧客関連データとCJを関連付けて管理したり、顧客接点ごとに責任者を決めて改善の進捗を管理することができる。


クリックで拡大

【最後に】
企業は「内向き」になりがちであり、顧客にとって何が重要かという視点をつい見失ってしまう。その点、CJは「社内オペレーション」の視点から「顧客経験」の視点へ、議論の枠組みを再設定してくれる素晴らしいツールであり、CJを作る努力をしている多くの企業が報われている理由はそこにある。


以上

超訳「顧客経験マップの作り方・使い方」(前編)


前回に続き「顧客経験マップ」がテーマです。今回は、僕が研究する中で読んだ海外の文献を紹介します。よくまとまっており、マップの具体的な考え方や作り方が分かると思うので、がんばって訳してみました。


(画像クリックで文献へ(PDF))

とはいうものの完全に訳せるほど自分の英語力は高くないので、意味のよく分からない部分は意訳や自分の解釈・修正を入れた「超訳」です。大筋では内容は合っていると思いますが、細部はあまり期待しないでくださいませ。

大きく3つの章からなっており今回は2章まで訳します。なお「カスタマージャーニー」という言葉が使われていますが、顧客経験マップと同義です。

【第1章 企業は顧客をきちんと見ていない】
【第2章 カスタマージャーニーの作成手順】
【第3章 カスタマージャーニーの価値を最大化する3つの視点】




【第1章 企業は顧客をきちんと見ていない】

過去3年間の調査によると、約9割の経営トップが「顧客経験は自社のビジネスにとって非常に重要である」と答えている。しかし、一方で多くの企業において良質な顧客経験は実現していない。

調査の結果、我々は以下の発見をした。

顧客ニーズをふまえずに意思決定をしている
 北米の企業の経営者に対する調査では「ターゲット顧客についての明確なイメージを全社的に共有している」と答えたのは21%しかいなかった。約8割の企業が「顧客ニーズ」ではない別のものを基準に意思決定をしているのである。

従業員を中心において考えている
 改善プロジェクトのメンバーは、自分の感覚を顧客の感覚にあてはめて顧客経験を分析している。結果として、誤った意思決定をしてしまう。残念ながら、内部の社員では典型的な顧客像に代わることはできない。

社内政治が野放しになっている
 大きな組織では、部門横断的な協力の不足が顧客経験改善の障害になっている。意思決定が顧客のためではなく、特定の部門や役員のエゴを満たすために行われてしまう。

多くの企業が良質な顧客経験を提供できていない
 顧客中心の取り組みが足りず、多くの企業が顧客をがっかりさせている。たとえば"Forrester's 2010 Customer
Experience Index"によると、133社のうち「優秀」ランクにいるのはわずか13社。45社が「よくない」「とてもよくない」と評価されている。





【第2章 カスタマージャーニーの作成手順】

第1章のような事態を避けるために、我々はカスタマージャーニー(以下「CJ」)を作り、顧客の立場から企業のサービスを見つめてみることをお薦めしたい。CJは、Forrester社の定義によれば、

「企業との関係を通して、顧客のプロセス/ニーズ/知覚を視覚的に描いた文書」

とのことである。企業がCJをどのように使用しているかを知るため、我々は顧客経験改善を支援する10社の企業と、自社の顧客経験改善に取り組む5人の責任者にインタビューをした。総合すると、CJを作る手順は下記の5つである。

1. 内部情報を収集する
2. 初期仮説を構築する
3. 顧客の経験プロセス/ニーズ/知覚を調査する
4. 調査結果を分析する
5. CJを作成する

(参考)顧客のプロセス/ニーズ/知覚の定義
・プロセス:企業との関係性を作っていくステップ。 それぞれのステップに存在する接点や相互のやりとり。
・ニーズ:やりとりの中で顧客が望むこと。何を達成したいか? どのように扱ってほしいか?
・知覚:やりとりの中で顧客が考えたり感じたりしていること。ニーズは満たされていると感じているか? 顧客はやりとりを十分なもの、価値あるものと感じているか?


1. 内部情報を収集する

 まずすべきことは、すでに有する顧客関連情報の収集である。ただ、データベースや過去の報告書を調べるのも大切だが、重要な洞察(価値ある発見)は「関係者自身」から得られることがある。それゆえ、多くの支援企業はプロジェクト立ち上げにおいては、多様な視点を得るために部門横断的なチームを作っている。これにより顧客像や顧客経験をしっかりと表面化できるほか、顧客データの情報源を漏らさず把握できたり、関係者を早期から巻き込むことができるといったメリットが得られる。

<アウトプット>
・顧客についての社内の情報/データ/洞察
・顧客接点リスト(コールセンターやWebサイトなど、顧客と企業が接する点およびその特徴を整理)
 
参考:あるヨーロッパ企業の顧客接点リスト(クリックで拡大)



<主要タスク>
・社内での顧客(経験)関連情報の収集
・既存の顧客関連データの整理

<留意点>
・幅広い部門やチャネルの関係者を参画させること
・最前線の現場のスタッフを参画させること


2. 初期仮説を構築する

 顧客に対する考え方は、しばしば部門や個人によって異なってくる。このギャップは議論を通してすり合わせをしていくことになるが、一方で顧客経験の担当者は、集めた情報を正確に分析し、総合しなければならない。

 このステップでは、多くの支援企業が内部情報を整理した「暫定版CJ」を作り、現時点での洞察を社内で共有することを薦めている(また、これによりプロジェクトが最終的に作ろうとしているCJのイメージを伝えることができる)。また、これをベースに関係者の議論を促進できるといったメリットもある。

<アウトプット>
・内部情報に基づいて作成した「暫定版CJ」

<主要タスク>
・以下の観点から収集した内部情報の整理:顧客の経験プロセス/ニーズ/知覚、顧客経験についての強み/改善機会、顧客セグメンテーション
・現状の顧客調査における不足点の特定

<留意点>
・関係者が持っている、顧客(経験)についての多様な視点を無視しないこと


3. 顧客の経験ルート、ニーズ、感情を調査する

 企業は顧客について多くのことを知っているつもりでいるが、それはあくまで伝統的な見方によって枠組みされたものである。たとえばデモグラフィック分析を行っている企業では、顧客の年齢層などは分かるかもしれないが、それぞれの顧客の思考や行動までは分からない。

 本当の意味で顧客のプロセス/ニーズ/知覚を知るためには、調査の幅を広げ、顧客視点からの発見が得られる方法も採用すべきである。たとえばデロイトコンサルティングは覆面調査を用いて、内部関係者が見落としている「真実の瞬間」を見定めようとしている。また、他の支援企業ではソーシャルメディアを活用したり、(ユーザーシナリオ法などの)行動観察をベースとした調査を行っている。


<アウトプット>
・顧客調査の調査結果

<主要タスク>
・現状の顧客調査における不足点の解消
・新しい洞察を得るための複数の調査の実施

<留意点>
・(年齢などの)デモグラフィックデータや購買データだけでなく、顧客の生の声や行動観察も重視すること


4. 調査結果を分析する
 内部/外部調査の結果をふまえ、顧客のプロセス/ニーズ/知覚についての発見や気づきを抽出する。しかし、インタビューした多くの企業は、さらに追加の調査を行っている。たとえば顧客接点別の重要度評価や、顧客経験のブランド価値への影響調査である。

 また、ある大手製造業では、商品知識や興味に応じて4種類のペルソナを作っている。既存のデモグラフィック分類と異なり、ペルソナは顧客のニーズを満たす経験を設計する助けになってくれるだろう。

(参考)既存の顧客モデルとペルソナの比較

<既存の顧客モデル>
・データから作られた定量的な存在
・デモグラフィックやサイコグラフィック基準による分析
・購買行動は購買履歴データを基に分析される

(明らかになること)
・顧客の企業にとっての価値
・現在とっている行動
・最適な伝達メディア(新聞、ネット…)

<ペルソナ>
・インタビューや観察から作られた定性的な存在
・行動や好み、不満などについての豊富な物語を有する
・画像、音声、動画を活かして顧客の状況を把握する

(明らかになること)
・意思決定の方法や理由
・(口コミなど)意思決定の文脈
・満たされていないニーズや願望


<アウトプット>
・顧客の経験プロセス/ニーズ/知覚についての洞察
・調査に基づいたペルソナ(顧客像)

<主要タスク>
・顧客について得られたさまざまな洞察の整理
・初期仮説の検証
・ペルソナのデザイン

<留意点>
・アカデミックな分析に陥り迷子にならないこと
・前後関係から意味を持ってくるデータもあるので、単独では意味を成さないからと捨ててしまわないこと


5. CJを作成する
 これまでの分析結果をCJに落とし込む。下記はレゴ社の「経験の車輪」、ある企業の役員がレゴ社のオフィスを訪問した際の旅程を表現している。


(クリックで拡大)

 CJは、それぞれのステップにおける顧客ニーズと、企業がそれをどのように満たしているかを明らかにしなければならない。一方で、CJは他の補足情報を含めることもできる。たとえばある企業では、ペインポイント(顧客が不満を感じている点)や改善点をあわせて表現している。また、ペルソナについてだが、もしペルソナごとにCJの内容が変わってくるようであれば、個別にCJを作ってシンプルさを維持したほうがよい。

<アウトプット>
・CJ

<主要タスク>
・顧客の経験プロセスおよび接点の図解化
・各接点における顧客ニーズの明確化
・各接点において現状の経験がニーズを満たせているかの検討
・各ペルソナから得られた洞察の整理

<留意点>
・細部の議論に陥り過ぎないこと
・他の素晴らしいデザイン事例を見習うこと


【第3章 カスタマージャーニーの価値を最大化する3つの視点】

 …は次回に続きます。

経営理念はシンプルさとユニークさを両立させなければならない


経営理念とかビジョンといった上位概念は、上位概念であるがゆえにシンプルでなければなりません。

長すぎると社員が覚えられず浸透しないし、判断や行動に迷った際の指針・よりどころにするわけですから、細かすぎても役に立ちません。

たとえば「お客様が来店したらきちんと『いらっしゃいませ』と挨拶しましょう」というメッセージは(大切なことではありますが)経営理念にはなりえないのです。それは業務マニュアルの中に書くべきです。


一方で、シンプル・抽象的にすると「他社との違いが分からなくなる」というリスクがあります。たとえば「お客様第一」とか「社会への貢献」という経営理念の会社は多いですが(これも間違ってはいないのですが)、「その会社らしさ」が伝わってきません。ビジネスは差別化が大切だとよく言われますが、この時点で会社自体の差別化につまづいているわけです。

また、抽象的過ぎてもイメージがつきにくく&記憶に残りにくく、これも現場に浸透しません(「お客様第一」を掲げる会社の接客がイマイチだったという経験はいくらでもあります。昔、耐震偽装で問題になった某企業のHPには「顧客志向」と書いてありました)。

したがって、経営理念(などの上位概念)は、シンプルである一方で「その会社らしさ」が分かるユニークさを兼ね備えていなければならないのです。


では、それを上手くやっている企業としてはどんなところがあるか。まずはスタバの「サードプレイス」というコンセプトが挙げられます(もっともこの言葉を最初に考えたのでスタバではなくレイ・オルデンバーグという学者さんとのことですが)。



<ある統計によれば、私たちの年代は、両親の世代より年間100時間以上多く働いているといいます。加えて、携帯電話やメール、ファックスなど、プレッシャーを生み出すものがたくさんある。スターバックスは、そういうものから逃れて休息する場所、オアシス。私たちは店を「サードプレイス」といって、自宅と職場の間というポジションだと考えています。そして、そこで生み出されるのは「コミュニティー」というフィーリング。店を訪れた人同士がつながる、スターバックスはそういう場を提供しているのです>(『スターバックスマニアックス』小学館文庫より)

たった2つの単語なのに、そこにその企業のビジネスや独特の提供価値、存在意義がしっかり表現されている。これが理想の経営理念だと思うのです。


あるいはAppleの"Think Different"も僕は好きです。これもわずか2つの単語ですが、この言葉を聞けばすぐにAppleのことだと分かるし、同社の中の人たちは、この言葉をよりどころにすることで文字通りdifferentな商品を出してきたわけです。



また、ちょっと長いですが、リッツカールトン"We are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen"(紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女です)も素敵ですね。

スタッフがどんな人間でなければならないか、どう振舞わなければならないかが、ホテルが想定する顧客像とともに、"Ladies and Gentlemen"という言葉で端的に表現されています。




というわけで組織運営(会社に限らず研究会などコミュニティの運営も含みます)においては、「シンプルさ&ユニークさ」を両立したコンセプトを検討してみることをオススメいたします。

ちなみに僕は、こういった例を見習って、TCMにおいて「脳の筋トレジム」というコンセプトを掲げたりしています。

100人集客した私の方法


先日開催した「神プレゼン!」についてのメモ。

この企画には100名超の診断士が集まりました。研究会の会員数がもともと多いとはいえ、平日の夜に診断士が100名集まったという記録は、全国探してもそうそうないと思われます。

毎回の参加人数は40-50名程度ですので、それなりのマーケティングをしなければ100名は集まりません。僕もいろいろと知恵を絞りました。下記に、具体的にどんなことをやったかを3つほど記しておきたいと思います。参考になれば幸いです。


(1)タイトルを考え抜く

やはりタイトルは大切です。テーマがプレゼンだから「プレゼンテーション講座」と銘打っても、ありきたりで人を惹きつけることはできません。そこで今回、僕は以下の条件を満たすタイトルを考え出すことにしました。

・インパクトがあること
・内容を一言で的確に表したものであること
・流行の要素を採り入れていること
・口コミされやすいこと

その結果が「神プレゼン!」です。「神」という言葉は近年ネットで強調語として使われているし、AKBも「神7」などのように使っています。また、今回の内容(「(スティーブジョブスなど)プレゼンの神様に学ぶノウハウ」)を一言で表していますし、短いタイトルなので研究会会員の間でもよく口コミされたようです。

もっとも、このタイトルが多くの方に誤解され、「発表者(僕)=プレゼンの神様」「神様のプレゼンが聞けるらしいぞ」と期待値をかなり高めてしまったことは否めませんが…もちろんそれも作戦でした。「期待値を高めて多人数を集客し、がんばって高い品質を提供する」という正攻法なチャレンジも仕掛けていたわけです。


(2)視覚に訴え「おもしろそう!」と思わせる

Facebookなどでの事前告知は当然2,3回行いましたが、ここで当日の内容のティーザー(チラ見せ)を行いました(下図)。文字が極端に少なく視覚に訴えるスライド(「プレゼンテーションzen」方式)なので、ある程度のワクワク感は与えられたかなと思います。
 
一般にセミナーなどの集客では文字情報が中心ですが、このように一部を見せ視覚的に訴える方法は効果がありそうです。




(3)出席するうえでの「障害」を取り除く

出席できない方には当然、なにかしらの理由があります。「興味がないから」「先約があるから」…と、なかなか動かしがたい理由もありますが、「何が障害になっているか」を考え、それが取り除けるものであれば取り除く知恵が必要だと考えます。

今回は平日19時の開催ということもあり、残業などの理由により前半を聞くことができないという方が多いのではないかと考えました。そして、最初が聞けないとその後がついていけなくなるから「じゃあ、全部行かない」と多くの方は考えるものです。

そこで、今回は「途中から聞いても内容が理解できる」ことをアピールしました。プレゼンのノウハウを13個、独立性を持って語ること、前半を聞いていなくても後半をそれなりに理解することができるようにしました。(ゴルゴ13のように、1話1話で完結するマンガのような感じです)

複数の方から「それを聞いて来ることにした」という声を聞いており、このアイディアは効果があったのだなと思っています。


以上、3点のノウハウを紹介しました。もちろん、これがすべてでなく、他にも自分が無意識にやっていたノウハウがあると思います。また、これらの方法が効果があったかも分かりません。実は他のところに集客できた理由があったのかも知れません。また、チームメンバーが知り合いに声をかけてくれて、それで来てくれたという方もいると思います。

ただ、診断士である以上、こういった「マーケティング発想」は必要だと思うのです。努力と根性の営業だけでない、知恵を使った集客。人の商売を支援する仕事である以上、自分で率先してマーケティングを実践する、そういう姿勢。

今回はビジネスではありませんが、「伝えることで人の心を動かす」というマーケティングの本質は共通しています。こういった機会を見出し実践していくことで、マーケティングのセンスは磨かれていくと考えています。

少しでも参考になればと思い、紹介させていただきました。

リーダーシップの本質は「別れ」にあり


年度末。送別会が連続するシーズンです。組織やコミュニティのリーダーを続けているなかで、絶対に避けることができないのは「メンバーとの別れ」です。

社員をこき使って彼ら彼女らがどんどん辞めていくようなブラック企業は論外ですが、どんなに素晴らしい組織であっても組織の方針との食い違いとか相性の違いはどうしても出てくるし、どんなにリーダーと構成員との関係が良好であってもどうしても組織を離れなければならない様々な事情というのは出てきます。



正直、この「別れ」はなかなか慣れるものではありません。長い時間を共にした人、共通体験を持った人から、今後は一緒に続けていけないという話を聞くと、やはり平穏ではいられません。やむを得ない事情があることが明白であったとしても、何か自分のやり方がまずかったのかななどと考えてしまいます。

しかし、そういった痛みは、人の上に立つ仕事を続けている人であれば、多かれ少なかれ背負い続けているものなのかも知れません。

たとえば私の父は36年間中小企業を経営しています。その中で多くの人の入れ替わりがあり、それだけの別離を経験しているはずです(実際、会社と家が近くにあり、自分と社員さんとの交流もあったのでそういった別離は何度も目の当たりにしています)。利益を上げ続けるという(経営者として当然の)重圧に加えて、何十人との別れという重みも背負っているわけです。

また、今日は研究会のリーダークラスが10名ほど集まる会合がありましたが、その場にいた例外なく全員が、そういった重みを背負ってきているはずです。

重いのは自分だけではない。それは、(努力や才能によってある程度減らせるとはいえ)組織やコミュニティをまとめあげる大きなやり甲斐や喜びの対価としては決して避けられないものなのだと思います。

昔どこかで「存在感とは、その人が背負ってきた重さのことである」という言葉を見かけました(ちなみに先日の研究会のプレゼンの最後に「生きざまがプレゼンに出る」と話しましたが、それはこの言葉をヒントにしています)。

今回の話をふまえれば、その言葉は「存在感とは、その人が経験してきた別れのことである」と読み替えることができそうです。そして、リーダーという立場に立つ人はその言葉を支えに、強く耐えていかなければなりません。

仕事で&仕事外で、去りゆく仲間たちの今後の発展をお祈りしています。自分とかかわってきた時間が、少しでも活躍の糧になりますように。



顧客の感情を一歩一歩たどる! スタバの「カスタマージャーニー」がすごい件。


最近「顧客経験価値」なるものを勉強しています。これは製品の機能とか品質とか値段だけではなく、「その企業や製品を通して得られるすべての経験や感情を観察・評価し、それらがよりよいものになるように設計しよう」的な考え方です。

そして、そのツールの1つとして「顧客経験マップ」(カスタマージャーニー)というものがあります。具体的にはこういうものです。

スタバの顧客経験マップ(PDF)


出典:Little Springs Design


顧客のモデル(ペルソナ)を設定し、それが体験するステップを1つ1つ追い(マップの下半分)、そこで何が起こっていてどのような感情が沸きあがっているかをイメージします(マップの上半分)。


今回、これの日本語訳がなかったので自分で訳してみました。かなり雑な訳です(訳せなくて放置した箇所もあるし)。ただ、「経験マップ」がどういうものかは伝わるかと思います。なお、パワポは面倒だったのでExcelで作っています。


ダウンロード


かなり細かいと感じられたのではないでしょうか。最初は顧客が「コーヒー飲みに行こうかな」と思うところからスタートします。「駐車場が混んでたらやだな」といった顧客の心情まで記述します(それに実際に対策を打つかどうかは別ですが)。

そして、入店して会計するまで大きく4ステップ、小さくは20ステップ。これだけ分解していくことで、どこが問題なのか、改善の余地があるのかを検討することができます。(さらに、店を出てから自動車の中でスタバのことをぼんやりと振り返るところまで「経験」として記述されています)

実を言うと、このマップはスタバが作成したのではなく、出典にあるデザイン会社が勝手に作ったもののようです(英語なのでちゃんと読んでいないのですが)。ですが、もし他の企業でもこのようなものを作ったら、多くの気づきが得られるのではないかと思います。

多くの企業が「顧客志向」を掲げますが、その多くは「丁寧な接客」程度に留まっているように思われます。あるいは「顧客の要求をなんでも聞き入れること」と誤解していたりとか。

もちろん丁寧な接客や顧客対応は素晴らしいことなのですが、真の意味での顧客志向を実現し、喜ばれる企業になりたいのであれば、こういったツールを活用して顧客の立場や心情を慮り、対策を考えていく。そういうことが必要なのではないかと考えているのであります。



仕事力で大差をつけるための「センス・オブ・オーナーシップ」という考え方


僕の塾(TCM)では、課題図書として受講生の方にこの本を読んでもらっています。



プロフェッショナル原論


その中で、著者はプロフェッショナルの要件の1つとして「センス・オブ・オーナーシップ(全権意識)」を挙げています。これは「(仕事の)裁量と実行と責任をすべて自分で背負う」みたいな意味です。

たとえば、個人ですべて仕事を担っているコンサルタントとか弁護士は、センス・オブ・オーナーシップ(以下「SOO」)を持っていると基本的に言えます。また、企業の経営者の多くもこれを持っていると言えます(社員を雇っている点で「実行をすべて自分で」背負ってはいないのですが、最終的な責任は経営者が背負っています)。

SOOを持つことが何を意味するか。それは、大きな裁量からくるやりがいであり、最終的な責任からくるプレッシャーであり、仕事を構想したり実行したりマネジメントするためのスキルの要求であり、そして、そこから得られる大きな成長、です。


僕が初めて、明確にSOOを感じたのは4年前に研究会を設立したときでした。実際には、とある研究会の中の1チームでしたが「運営はすべてリーダーに任せる」という方針でした。

コンセプトを自分で考え、メンバー集めのためのプレゼンを行い、毎回の企画を立てて実行する。メンバーに協力していただいている仕事も多々あるのですが、組織としてちゃんと活動できているかの最終的な責任は常に自分にあります。そして、その責任からくるプレッシャーや、毎回の運営の中で企画したりマネジメントしたりしてきたことが、自分を大きく成長させたと思っています。

そして2年前には新たに塾を始めました。いろいろな方にアドバイスをいただくことはありますが、指示を出したり責任を背負う上司はいません。すべてが自分の自由であり、すべてが自己責任です。

繰り返しますが、SOOを持つことは簡単なことではありません。仕事を設計し、それをやりきるだけのスキルも求められますし、自分はプレッシャーに弱いので(笑)、正直しんどくなることもあります。ただ、こういった取り組みを通して


「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」(リクルート創業者・江副浩正)


という言葉を実践できたなと思います。

また、富士ゼロックス元会長の小林陽太郎氏もこのように言っています。


「必要なのはセンス・オブ・オーナーシップです。何事も他人事にしない自己責任に裏付けされた強い当事者意識です。チャンスが与えられ、本人にやる気があれば、人は変われる。」

(Presidnet Online のインタビュー記事)
http://president.jp/articles/-/6482


ただ、僕が全ての仕事においてSOOを持っていたかというと、そんなことはありませんでした。特に若い頃は、自分の仕事はチーム単位で動くものが多かったこともあり、どこか上司にぶら下がって仕事をしていたと思います。仕事そのものはがんばっていましたが、どこか「やらされ仕事」的なところがあったと思います。

しかし、研究会や塾での経験を通じて理解できたSOOを、最近はコンサルティングの仕事にも当てはめることができるようになってきたと思います。経験年数とともに職位が上がり、裁量が大きくなってきたということもありますが、それだけではありません。自分がチームの責任者かそうでないかにかかわらず、自分で仕事を構想する。自分より上に監督や責任者がいたとしても、そのやり方をより良くするようなやり方を考え、提案し、認められれば、少なくともその部分は自分が主導権を握れる。そういったことが少しずつ分かってきました。

提案し説得するための準備には頭や時間を使いますし、認められれば認められたでその分仕事や責任が増えます。しかし、周囲で飛躍していくビジネスパーソンの多くは、そういうことをやっているように思います(新卒1、2年くらいの若手でもそういう動き方をしている人はいます。自分も見習わなければなりません)。

やはりSOOのある仕事は、モチベーションが上がります。というか、モチベーションが高い低いという次元ではないのかも知れません。使命感というか、責任や裁量が自分である以上「やるのが当たり前」という感覚です。どうすればよりよい成果が出せるかを考えることはプレッシャーもありますが、ワクワクします。だから、毎朝仕事に行くのが辛いとか毎週月曜日に仕事に行くのが辛いという感覚は、ゼロにとは言いませんが、以前より減りました。これはとても幸せなことだと思います。

最後に、もう1つSOOにまつわる言葉を紹介して終わります。


「周囲を引きずり回せ。引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる」(電通・鬼十則より)



「周囲を引きずり回す」とは言わないまでも「周囲を巻き込む」くらいのチャレンジは今後も続けていきたいと思います。

経営者・コンサルタント必見のTEDプレゼン「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」


NHK「スーパープレゼンテーション」の放映などにより有名になってきたTEDですが、以前紹介したダニエル・ピンクのプレゼンに続き、また素晴しいプレゼンに出会いました。

TEDの中でもトップクラスの人気なのでご存じの方も多いかと思いますが、サイモン・シネックの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」です。



アップルはなぜ成功したのか。ライト兄弟はなぜ世界初の有人動力飛行に成功したのか。キング牧師はなぜ民衆を突き動かすことができたのか。

その答えは、この「ゴールデンサークル」にあると言います。



・What:「なにをやるか」=具体的な仕事(商品開発や営業など)。すべての組織がやっている。

・How:「どのようにやるか」=戦略や戦術など。一部の組織ではやっている。

・Why:「なぜやるか」=会社の存在意義や信念。これをわかっている組織は非常に少ない。


氏は、アップルなどは「Why」から事業をスタートさせているから人々の共感を得ているのだと指摘します。たとえばアップルは本気で「世界を変える」と公言していますし(そして実際に変えました)、"Think Different"という彼らの信念を表したコピーも有名です。こういった大義や信念のことを「Why」と呼んでいます。


「Why」について、手前味噌ながら自分の事例を紹介します。

自分が主宰する研究会「T3」では「考える力、書く力の向上を通して診断士のレベル向上を図る」という大義があります。

また、コンサルタント塾「TCM」では「プロフェッショナルマインドの醸成やベースとなる思考力の向上を通しての診断士養成」という大義があります。

T3やTCMに、毎年一定数のメンバーが集まってくれるのは、こういった大義を通して診断士の世界を(いい方向に)変えていこうとする僕の意志に共感してくれるからだと思うのです。もしこれが、「有名になりたいから」「お金を儲けたいから」という動機だけで動いていたとしたら、おそらく集まる人はいないでしょう。


利己的な動機だけでもダメ。商品ありきでもダメ。商品よりもまず「このように世の中を(いい方向に)変える」という信念(そして、その結果としての商品)。それこそが、人々の共感を呼ぶ条件だと考えます。そして、それが一般に言うところの「企業理念」なのだと思います。


創業時には事業計画書の作成が求められ、そこでは「企業理念」、あるいはそれに準ずるものを書くことが求められます。具体的には、創業を考えた経緯や目的、上述のような「信念」。何がきっかけとなって、何をどのようになしとげて、何を変えたいのか。

事業計画書においては事業の独自性やマーケティング計画、資金計画などが重視され、抽象的な経営理念のパートは軽視されがちです。表面的なキレイゴト(「顧客第一」みたいな)をとりあえず経営理念として書いても融資審査は通るかも知れません。

しかし、サイモン・シネックのプレゼンが示すように、実は経営において最も大切な要素なのではないかと考えます。


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経営理念を含め「事業計画」作りを学びたい方は「横浜・創業塾」にぜひお越しください。11/3と10の2日間の講義および演習を通して、より良質な創業プランの作成を目指します。
http://www.idec.or.jp/seminar/detail.php?pid=85

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横浜での創業、または新規事業を検討中の方にはぜひ下記「横浜ビジネスグランプリ」への参加をオススメいたします。入賞者には賞金が出るだけでなく、専門家からの貴重なフィードバックを得たり、交流会を通じて人脈形成を図るチャンスにもなります。

また、上記「創業塾」に出席された方は一次審査が免除になります。合わせてご検討ください。
http://www.idec.or.jp/kigyo/ybg/



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