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コンサルティングはホラーである


以前の記事で紹介したマンガ「ラーメン発見伝」から別のネタを。

主人公は、とある浅草の老舗ラーメン店の立て直しを手がけることになります。そこで券売機の導入など業務の改善・効率化を提案します。



しかし、現場からの強い抵抗にあいます。たとえば券売機なら「お客様との接点が減るのは(故人である)創業者の思いに反する」といったように。また、新メニューを増やそうとしても「創業者の味を踏みにじるのか」と反対します。

お客様との接点が減る、というのは一理ありますし(たとえば牛丼の吉野屋は同じ理由で券売機を導入していません)、創業者に対する敬意が高いのは悪いことではありません。


■なぜ、「券売機」を置かないのか:吉野家式会計学
http://president.jp/articles/-/1170


しかし、後にそれらの理屈が建前であったことが判明します。本音は「券売機を導入したら売上をごまかすことができなくなる」ことにあったのです。また、メニューを増やしたくないのは「仕事が増えるのがイヤだったから」でした。そういった自分の身勝手な都合を「創業者の思い」にすり替えていただけだったのです。

結局、この店の立て直しは主人公のライバル的存在が担います。そして、彼ら問題店員を店から追い出す荒療治で解決します。

(正確な内容は忘れてしまったのですが)そのライバルは「コンサルティングはホラーだよ」という言葉を残します。ホラーと言ってももちろんゾンビや幽霊が出てくるのではなく、「人間の持つ醜さがかいま見える」という意味で使っているのだと思われます。「半沢直樹」で人間の持つドス黒い側面を見て、フィクションながらもある種の恐怖を感じるのに似ています。





診断士試験の学習では、そういった「ホラー」への耐性をどう身に付けるかをあまり教えてくれません。すなわち、コンサルティングの仕事の中で避けては通れない「ヒューマン」な部分について何を知っておくべきか、どう対処すべきかといった部分。

商品を買ったり、組織の中で仕事をしているのが人間である以上、人間の特性や心理に対する深い理解なくして経営やコンサルの仕事はできないと考えます。しかし、そういう内容は、ゼロではないものの試験ではあまり問われません。コーチングやカウンセリングなど、ヒューマン的な内容をかろうじて扱っていた「助言理論」という科目があったのですが、それも受験科目から外されてしまいました。



かくして、そういった領域については、自分で勉強や経験を積んでいくしかないということになります(たしかに理論化や言語化が難しい領域なのですが)。私の周囲で活躍しているコンサルタントの多くは、やはりこの人間に対する洞察に長けている、あるいはそのセンスを伸ばそうと努力しているように見受けられます。逆に、資格をとったけどコンサルとしてやっていけない、自信がない、という方が多いとすればその理由の何割かはこの壁にあるのではないでしょうか。

試験科目をすべて学んだからといってコンサルティングができるわけではない。そのことは多くの受験生や診断士の方が実感されていることと思いますが、その足りない部分の多くは、この「ヒューマン」な領域なのではないかと考えています。

5Sの「躾(しつけ)」は現場からの反感を買う言葉ではないだろうか


ふとそんなことを考えました。

5S=整理、整頓、清掃、清潔、躾



ですが、最初の4つはいいとして最後の「躾(しつけ)」。

もし自分が製造業や小売業の現場で働いていたとして、経営者や上司から「社員をしつける」と言われたら「自分達を子ども扱いするのか?」といったように反感を持つのではないかとふと思いました。

辞書で「しつけ」を引くと

「礼儀作法をその人の身につくように教え込むこと。また、その礼儀作法。」

などとあります。よって、この言葉は子どもに限ったものではないのかも知れません。しかし、「子どものしつけがなってない」といった会話はよく耳にしますし、「子ども」を連想してもまったくおかしくない言葉です。さらには「ペットをしつける」なんて言い方もしますし。



「しつけ」そのものは現場管理に不可欠です。ただ、その言葉の響きだけは、当事者からの無言の反感を呼ぶリスクがあるのでは? と思うのです。

Wikipedia で「5S」を調べると「しつけ(習慣化の場合もある)」という記述があります。現場に5Sを導入・定着させたいのであれば、「習慣化」を使ったほうが抵抗は受けにくいのかも知れません。

また、5Sに限らず、「たとえ正論でもそのままでは導入できないこともある」「反感や抵抗を受けない定着方法を考える必要がある」といったコンサルティング上の教訓も、ここから得られると思います。


資格を持つことは本質的にハイリスクハイリターンである


先日、NHKの有名アナウンサーが電車内で痴漢行為を働いたということで騒ぎになりました。酔っぱらっていたとはいえ、1度の軽率な行為で社会的地位や信頼を大きく失ってしまいました。

また、過去にも雪印とか不二家とか、有名企業やその従業員による不祥事がしばしば大きなニュースに採り上げられています。

「社歴」のほかにも「学歴」もそうですね。東大卒など高学歴の人が起こした犯罪は、普通の人の場合以上にセンセーショナルに報道される傾向があります。

このように、知名度やブランドがある企業や人ほど、その人が問題を起こしたときの影響や批判は大きくなります。

ブランドの本質の1つは「期待」です。ルイヴィトンだからこのカバンの品質は確かなものに違いない、とか、吉野屋だから美味しい牛丼が食えるはずだ、とか、ブランドに対して我々はなんらかの期待を抱きます。だからその分、それが裏切られたときの落胆や怒りもより大きくなるわけです。

ブランドは強力な経営資源です。ブランドがあることで、より少ない広告費で注目を集めたり、商品を売ったりすることができる。その点で大きな武器となります。ブランド力がある企業や人は有利です。しかし一方で「期待」が寄せられる以上、それに応えなければならないプレッシャーと常に表裏一体であることを忘れてはなりません。



ここまで読んでお気づきの方もいると思いますが、「中小企業診断士」の資格もある意味ブランドであります。まだまだ知名度や信頼度は低いものの、国が「経営支援を行う能力を有する」と太鼓判を押してしているわけです。となれば、そこには当然「信頼」や「期待」が生まれます。

東大卒の人が何かよいことを成し遂げれば「さすが東大卒!」と評価されますし、不祥事をやらかせば「東大卒なのに…」と評価されます。それと同じように、「さすが診断士」と評価されるチャンスがある一方で、「診断士なのに…」と評価されるリスクも持ち合わせている、それが診断士の世界なのであります。

というわけで、合格者の皆様におかれましては、このハイリスクハイリターンな世界において「さすが診断士」と言われる活動をこれからご一緒に積み上げて行ければいいなと思うのであります。


iPhone&低予算で作るセミナーDVD講座(その3・Youtube編)


前回の続き。動画ファイルができたら次はDVDに焼くわけですが、その前に「Youtubeで観てもらう」方法を紹介しておきたいと思います。

セミナー動画をYoutubeで観てもらう方法には、DVDと比較して以下のような特徴があります。

○:DVDディスクがなくとも(ネットにつながる)PCがあればどこでも視聴できる
○:特に最近はスマホがあるので外での視聴も可能
○:販売側はDVD作成&郵送の手間が省ける

×:TVで観るのに比べると迫力が弱い?
×:無形なのでありがたみが弱い?(楽曲をCDで買うかiTunesで買うかの違いみたいなものです)


個人的にはDVDに比べてメリットは多いと考えます。Youtubeでのアップはそれほど大変ではありませんので、実際に販売する際にはDVDとYoutubeの二本立てでいくとよいかも知れません。

また、セミナーDVD以外にもHPやブログなどで自分のアピールをするためにアップするといった使い道もあります。

以下、Youtubeへのアップロード手順です。こちらもとても簡単。


1. アカウントを持っていない方はアカウントを作成します。



2. アカウントを作成したらログインして「アップロード」を押します。

3. アップロード画面で、アップしたい動画ファイルをドラッグします。



4. 「タイトル」の欄に任意のタイトルを入力します。

基本的にはこれで完了です。あとは動画の設定について2つほど。


【動画の長さの制限について】

動画は何本でもアップすることができますが、長さは最大15分、サイズは最大2ギガまでとなっています。ただし、長さの制限は「アカウント確認」という手続きをすることで無くすことができます。

アップロード画面に「上限を上げる」というリンクがあるので、これをクリックして手続きします(個人の携帯メールを使った承認が必要です)。

セミナー動画は(分割しない限りは)15分では収まらないと思うので、こちらの手続きをしておくとよいと思います。


【動画の視聴権限について】

標準では動画は誰でも見ることができる状態になっています。これだと受講料を払わない方でも視聴できてしまいます。

そこでアップロードする画面の「プライバシー設定」を「公開」から「限定公開」または「非公開」に変えます。

[限定公開]…動画のURLを知っている人しか視聴できません。また、GoogleやYoutubeの検索の対象外になります。なので、受講料を払った方にだけメールでリンクを教える、という使い方ができます。ただし、URLを知っている人が別の人にこっそり教えれば、その人も視聴することはできてしまいます。

[非公開]…アップロードした人が指定したユーザーしか視聴ができません。なので、受講料を払った方のアカウントだけを指定するようにすれば、上記のようなフリーライドはできなくなります。ただし、受講者がアカウントを所持または作成する必要があります(上記の通り、すぐ作成できますが)。



上記のどちらかをお好みで選んでいただければと思います。


なお、アップロードした動画は、ブログなどに貼り付けることができます。視聴画面にある「共有」を押し「埋め込みコード」を押すと下記のようなものが出てくるので、これをブログにコピペします。セミナー動画の一部を切りだし、お試し的にブログ上で観てもらうといった使い方ができます。




(作成例)



…というわけで今回はYoutubeでのセミナー公開の方法を紹介しました。そして、次回こそDVDの焼き方を紹介します。

iPhone&低予算で作るセミナーDVD講座(その2・編集編)


前回の続き。iPhoneで撮った動画を編集します。このステップが必要ない場合は、今回の記事を読み飛ばしてもらっても結構です。

まずは「トリミング」について。

撮った後、動画の最初や最後の一部を削除したいということがあるかも知れません。この作業を「トリミング」というのですが、実はこれはiPhone本体でできます。

方法は、再生画面で画面上部のシークバーの両端を動かすだけです。範囲を決めたら「トリミング」を押すと「オリジナルを変更」か「新規クリップとして保存」が選べます(要は「上書き保存」か「新規保存」かということですね)



なお、Andoroidでのやり方は、持っていないので分かりません。ただ、下記のようなアプリがあるようです。

■シンプルな動画トリミングアプリ「VidTrim Video Trimmer」
http://yukimushi119.blog136.fc2.com/blog-entry-75.html


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 


次に、動画への「タイトルや字幕の入れ方」を説明します。少々まどろっこしい方法なのですが、自分がこれ以外に方法を知らないので、よい方法をご存じの方がいらっしゃれば教えていただければ幸いです(できれば低コストで)。

当然、このステップが不要な方は飛ばしていただいてかまいません。ただ、セミナー動画でタイトルなどの字幕が入っていると、ちょっと「プロっぽい」動画に見えることうけあいです(笑)。

手順は下記の通りです。

1. 動画ファイルの変換
2. タイトルや字幕の追加


【1. 動画ファイルの変換】

iPhoneで録画した動画ファイルは「.mov」という拡張子になっています。そのためこの形式の動画ファイルを編集できるソフトが必要になりますが、ちょうどいいソフトが見つからなかったので、いったん他の形式(wmvなど)に変換します。

■AVS Video Converter
http://www.avs4you.com/jp/AVS-Video-Converter.aspx

ダウンロード&インストール&操作は下記に記載されています。基本的には処理対象の動画を選び「WMVに」を押すだけと簡単です。

http://www.avs4you.com/jp/guides/convert-video-formats.aspx



変換が終わったら次のステップへ。


【2. タイトルや字幕の追加】

Windows ムービーメーカーを使います(WMVやAVIなどさまざまな動画形式に対応)。Windowsに最初からついている編集ソフトです(スタートメニューから辿っていけばみつかるはずです)。

たまたまYoutubeで字幕の入れ方を紹介している動画があったので転載します(ラクしてごめんなさい( ̄∀ ̄))




ただ、セミナーで話している内容のすべてを字幕にするのは骨が折れると思います(不可能ではないですが)。セミナーや章立てのタイトル、講師の名前を表示させたり、講義中に時々キーワードやポイントを表示させたり、といった程度の使い方が現実的かと思います。

字幕を入れ終わったら保存します。また動画の切り替え処理(フェードアウトなど)もできるので興味のある方は調べてみてください。


というわけで、今回は動画の「切り取り」と「字幕入れ」について紹介しました。

次回はこの動画をDVDに焼く手順をご紹介します。

iPhone&低予算で作るセミナーDVD講座(その1・収録編)


今回から3〜4回に渡って「セミナーDVDの作り方」を記しておきたいと思います。

収録してDVD作成というと「機材の準備にお金がかかりそう」とか「動画編集がよく分からない」と敬遠されている方もいらっしゃるかも知れません。そこで今回は

・iPhone(スマホ)を中心に低コストで作成できる
・動画編集も初心者でも分かるように説明する

上記2点を意識して説明していきます。

士業やフリーランスの方でセミナーや講演をされている方は多いと思いますが、もしかしたらそのコンテンツを映像化して販路を拡げ売上を増やすことができるかも知れません。その際にこの記事を参考にしていただければ幸いです。


【作成手順】

(1)動画の収録
(2)動画の編集
(3)DVDの作成

大きくこの3つのステップに分けて説明していきます。また、最近ではDVDで売らずに「Youtubeにアップして観てもらう」という方法も考えられますので、その方法もいずれ紹介します。


【(1)動画の収録】

セミナーを収録するためにはビデオカメラの購入が必要と考えている方もいらっしゃるかも知れません。たしかに、購入するに越したことはありませんが、実際にはiPhoneのビデオカメラ機能でも十分に撮れます。

以下、収録時のポイントです。収録には下記の2つの方法がありますので分けて説明します。

a. リアルで開催しているセミナーを収録する
b. スタジオなどを用意して収録する

(a.の場合)
■音声の大小:リアルのセミナーを収録する場合は、音声の大小にご注意ください。話し手とカメラが離れていると音量が十分にとれない可能性があります。

事前に試してみて、音量が小さいようでしたらマイクを使って話す(使っているのであれば音量を上げる)、あるいはiPhoneに外付けマイクをつけるなどの対応が必要になります。

一例:audio-technica スマートフォン用モノラル小型ガンマイクロホン AT9913iS




(b.の場合)
■収録場所の確保:洗濯物など見苦しいものが映り込まなければ自宅で撮影してもよいと思います。僕の場合はパワーポイントを使ってセミナーをしており、パソコンの画面が動画いっぱいに映るようにしていました。

(参考)以前TCMの説明用に撮った動画


ただ、ホワイトボードを使いたい場合などは、貸し会議室などを借りる必要があるかも知れません。


(a.b共通)
■カメラの固定:収録に際しては当然カメラを固定する必要があるのでスタンドの準備が必要になります。

一例:BELKIN iPhone/iPod対応 ビデオスタンド




洗濯ばさみなどで固定すると安上がりかも知れません。




■容量の問題(iPhone4s):僕はiPhone4Sを使っているのですが、HDの高画質で撮れる反面、ファイルサイズが非常に大きくなります。5分撮って1ギガとか、それくらいの容量になってしまいます。長時間撮っているとハードディスクがいっぱいになってしまい、途中で録画が止まってしまうリスクがあります。

なので、収録する内容は15分くらいごとに区切って章分けして撮るなどの工夫が必要になります。(どなたか、いい方法をご存じの方がいらっしゃいましたら教えていただけると嬉しいです。解像度およびファイルサイズを下げて録画する方法など)


撮影時のポイントはこれくらいですかね。

撮影そのものは録画ボタンを押すだけなので問題ないかと思います。撮り終わったら動画をPCにコピーし、動画の編集に取りかかります。

以下、次回に続きます。

診断士の世界は「ノー・ルール」


【「勝利条件」は自分で決める】

診断士試験においては「ルール」(≒勝利条件)は決まっていました。すなわち、

「1次試験で6割取ること」
「2次試験で上位2割に入ること」

です。これが、合格後はまったくの「ノールール」になります。つまり、どうすれば「勝利」なのか「成功」なのか、自分で好きなように決めてよいのです。

「本を出すこと」
「テレビに出ること」
「独立すること」
「300人の前で講演すること」
「年収1千万達成」

…まあ、いずれもよい例とは言い難いのですが、試験合格までとは自由度の幅が違うよということをご理解いただければと思います。



しかし、「自由度は高ければ高いほどよい」…とは限りません。人は過度に自由を与えられると、逆に身動きが取れなくなります。買い物に行った際、思ったよりも選択肢が多すぎて決めきれず帰ってきた、という経験をお持ちの方も多いと思います。

言ってみれば、合格後の自由は「大海原のど真ん中に放り出された自由」です。どこに行ってもよいのですが、どこに行ってよいのかなかなか分かりません。そして、その選択には常に責任がついてまわります。

買い物1つ程度なら大した問題ではありません。しかし、合格後のゴールをどう選ぶかは、そのまま人生に直結します。




【「道のり」も自分で決める】

そのうえ、「勝利条件」に加え「そこに至る道のり」についても自由に(そして自己責任で)決めることができます。仮に「年収1千万」をゴールと定義しても、それを達成する方法はいくらでもあります。

試験合格まではTACなどの学校が道のりを示してくれました。また、それら予備校や市販テキストも有名どころは数種類程度です。どの学校やテキストで勉強するか迷われたかとは思いますが、途方にくれるほど選択肢があったわけではありませんでした。


一方で「年収1千万」になる方法は数種類どころではありません。実際に高収入な人々を見るまでもなく、達成方法は千差万別です。

また、診断士として独立するのであれば、ベテランの独立診断士に弟子入りするというやり方が1つ考えられますが、弟子入り先も無数にありますし、そもそも弟子入りせずにやってる人もいます。弟子入りして実力をつけていく診断士も数多くいますが、同じ道のりが皆さんにもマッチしているという保証はありません。


そこで、無数の選択肢から、自分の「勝利条件」を、そしてそこに至るアプローチを選択する能力が必要になってくるわけです(まあ、この資格に限らず人生全般に言えることなのですが)。

1次試験は4〜5択でしたが、合格後はそもそもどんな選択肢があるのかをできるだけ洗い出し、その中から最も適切なものを選ぶことが必要になります。

こういう「途方もない選択」をすることに慣れていないと、考えることが面倒くさくなり、自分が最初に思いついたやり方で突き進んでしまうことになりがちです。そのやり方がたまたま正解であればよいのですが、一般的には、他の選択肢も考慮してから選んだほうがよりよい選択につながるはずです。


思い込みに囚われず、幅広く情報収集したり自分で考えたりして、選択肢を洗い出す。

洗い出したら、選択肢を選ぶ。

一度選んだらころころと変えない。あれこれスタイルを変えているのはカッコ悪いし中途半端な達成しかできない。

ただし、一方で固執し過ぎない。環境が変わったり、よりよい選択肢が見つかれば少しずつシフトしていく。


そういうことを、本当はやるべきなんだと思います。


「情報収集」という点では、先日出版された「ふぞろいな中小企業診断士」がいい材料になりますね。読んでいただければ診断士の生き方は文字通り「ふぞろい」=「No Rule」ということがお分かりいただけると思いますし、選択肢を考えるヒントになること間違いナシです。

診断士の生き方・働き方に対する多様さを我々が作りだしていくことで、資格の魅力はより増していき、より多くの人に認知される、より多くの人に目指してもらえる資格になっていくのではないかと思います。

診断士を5年やって気づいた「合格後に埋もれてしまう診断士と、そうでない診断士との違い」


僕が所属する研究会の新入会員向けの説明会が、先日行われました。そこでプレゼンの機会をいただき、僕が話したこと。それが表題の「合格後に埋もれてしまう診断士と、そうでない診断士との違い」です。



あらゆる仕事は「What」と「How」に分けられます。「そもそも何をやるか」を決めてから「どうやるか(どうやれば効率的か、など)」を決めます。



たとえば、先日も最新作が発売された「ふぞろい」シリーズ。これを例に取ると、「ふぞろい」という本を出そうと企画を立てるのが「What」。ここには、そもそもこういった本の必要性に気づくとか、本のコンセプトや方向性、進め方を決めるといった仕事があります。

そして、その枠組みに沿ってよりよい内容を目指して執筆していくのが「How」。ただし、章ごとの内容にある程度裁量が任されているのであれば、そのレイヤーでもWhatとHowの構造が見いだせるはずです。(大きなプロジェクトほど、複数のレイヤーの「What」と「How」からタスクが構成されます)

他にも、たとえば「502教室」も該当しますね。ゼロから受験生ブログのポータルを立ち上げました。また、(手前味噌ですが)僕がやっている「TCM」も、新しいコンサルタント育成の必要性を感じてゼロから作り上げた塾です。


WhatとHowのうち、一般に難易度が高いのは「What」の方だと思っています。もちろん「How」にもHowなりの難しさ、奥深さはあるのですが、決められた枠組みの中で工夫するよりは、そもそも枠組みや計画を作るほうがエネルギーを必要とすると考えます。

(あるいは、本当はどちらも同じように難しいのだけど、Whatを考える教育の機会が足りてないということなのかも知れません。小さい頃から「どうやって高成績を取るか」という勉強ばかりですし…)

そして、この「What」、つまり「ゼロから仕事を創り出す」、そのセンスが合格後の診断士には求められるのではないかと考えます。

「ふぞろい」を最初に企画したAさんをはじめ、「活躍している診断士」と聞いて思い浮かぶ方は、その多くが上記のような「What」に取り組んでいるように思います。

(誤解のないように言っておくと「How」を否定しているわけではありません。いくら素晴しいWhatがあっても、Howがダメダメなら結局よいものはできません。車の両輪のように両方が必要だということです)


また、中小企業の経営者は「What」能力を強力に持っています。何かやりたい事業があって、そのためにやるべきことをゼロから組み立てて実行し、企業という組織を作り上げてきたわけです。そうである以上、診断する側も「What」の感覚をある程度は持っていないと、彼らと渡り合って行くことは難しいと考えています。

(ちなみに、僕が診断士試験に合格した年の祝賀会で、TACの斉藤社長が「どんなに小さくてもいいから、自分で事業を回す経験をしてほしい」と言っていました。それも言い換えれば「Whatを経験をしてほしい」ということなのではないかと解釈しています)


「What」を考えることは難しいし責任も伴います。また、何もないところに道筋をつけるので勇気も必要だったりします。しかし、このような言葉もあります。


「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」(リクルート創業者・江副浩正)

「周囲を引きずり回せ。引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる」(電通・鬼十則より)



自分の経験からもそう思います。「研究会に参加する」よりも「研究会を運営する」ほうがより成長につながる。「塾に入る」よりも「塾を作る」ほうが、より学びがある。

あらゆる領域で同じことが言えます。ゲームで遊ぶよりもゲームを作るほうが、映画を観るよりも映画を撮るほうが、ダンスを観るよりもダンスを踊るほうが、きっと難しい分、成長につながる。


会社を興すような大きなWhatはいきなりはやれないかも知れませんが、小さなWhatのきっかけはあちこちで見つかるはずです。たとえば、研究会の中で1時間だけもらって自分でゼロから企画を立てて実現してみる。あるいは会社でやっているルーティンワークがあるとしたら、それの改善の企画を考え段取りを立てて実行してみる。

そうやって「オーナーシップ(主体性)」を持って仕事を推進した経験を増やしていくことで、「What」の能力やセンスは養われていくのだと、僕は考えています。

「店が汚いとCSが下がる」のではなく「CSが下がると店が汚くなる」


先日、とある個人経営の雑貨店に行きました。小さいながらも内装のセンスも良く居心地のよい店で、また店員さんの接客も丁寧かつ提案力のある商品説明であり、大変満足して店を出ようとしました。

そうしたところ、出口付近に(前の客が落としたらしき)レシートが落ちていました。僕はそれを拾って、店員さんに「落ちてましたよ」と渡して店を去りました。

そこで、タイトルのようなことを思ったのです。



「店が汚いと顧客満足度が下がる」のは一般論として正しいと思います。しかし、このエピソードが示すように「満足したから顧客が店を大切に扱う」(あるいは「不満を感じたから顧客が店を大切に扱わない」)というベクトルもあるのではないか、ということです。

もし僕がこの雑貨店に不満を持っていたら、同じようにゴミが落ちていても僕は関心を持たずに店を出ていたことでしょう。

また、僕の知っているとある小売店では、よく駐車場にゴミが散乱しています。来店客に子供が多い業種なのでやむを得ないのかも知れませんが、もうちょっと彼らとの関係性を構築できたら、むやみにゴミを捨てるということも減るのかも知れません。仲のいい店員、好きな店員がいるお店を汚すということはしなくなるはずです。

接客を通して、お店に対する好意とか尊敬とか、温かい気持ちが生まれているからこそ、顧客の中にお店を大切にしようとする心が湧いてくるのだと思います。



したがって、「清潔さ」と「顧客満足度」の関係は、「汚い→不満」のような単純な一方通行ではなく、「不満→汚い」という方向も含むものであり、結局はスパイラル的なものになるのかも知れません。すなわち

(a)店が汚い

(b)顧客満足度低下

(c)店がさらに汚くなる

(d)顧客満足度がさらに低下

(e)以下くりかえし…

ということです。

あくまで僕の感覚ですが、多くのお店において清潔さとCSは思っている以上に比例していると感じます。それは上記のようなスパイラルの結果なのかも知れません。


したがって、もしお店を清潔に維持したいのであれば「清掃・清潔をどう定着させるか」だけではなく、「どうしたらお客様がお店を大切に扱ってくれるか」という観点も持ち合わせていくことが、必要になると考えています。

清掃などのオペレーションをしっかりとやっているのにもかかわらず清潔さの維持に苦労している(そして、どうも顧客がお店を大切に扱っていないらしい)、ということであれば顧客満足をしっかりと得られているかどうか、について振り返っていく必要があるのかなと考えています。


コンサルタントを目指すなら観ておきたいクロサワ映画「羅生門」


黒澤明監督の「羅生門」という映画があります。芥川龍之介による同名の小説がありますが、映画「羅生門」では羅生門という名の門こそ登場しますが、実質的に「藪の中」という小説(これも芥川の作品)の内容に近いものになっています。



日本映画の古典であり、モノクロで地味な雰囲気。大学の授業での宿題になっていなかったら、僕も観ることはなかったかも知れません。

しかし、この映画がもたらす「ある感覚」は、コンサルタントを目指す人なら一度は味わっておきたいものだと考えます。


本作は、文字通り「藪の中」で起こった事件の話。ある武士が死体で発見され、その妻と、容疑者とされる盗賊の3者の言い分が語られます(武士は死亡しているので霊媒で呼び出されるかたちで登場)。

しかし、その主張は大きく食い違います。たとえば盗賊は「女にそそのかされて決闘して勝った」と言い、武士の妻は「夫は自殺したようだ」と言う。

ただ、彼らがおおっぴらにウソをついている様子でもありません。どちらかというと「こうであってほしい、あるべきだ」という個人的な願望が、事実を見る眼を歪めたのだと思われます。周囲を騙す、というよりは自分自身を騙そうとしているかのように思えます。


仕事をしていると「あ、『羅生門』状態だな…」と思うことがたびたびあります。

コンサルティングにおいては、仕事柄、社内のさまざまな立場の声を聞くことになります。社長にヒアリングすると「社員が使えなくて困る」と言い、社員は「トップのやりたいことがわからない」と言う。それでいて、あからさまにウソをついているようにも見えない。映画の冒頭のように、「わからねえ、さっぱりわからねえ」状態になる。

おそらく、見えている景色を(映画と同様に)自分の願望を含めて解釈しているのだと思います。

(付け足しておくと、コンサルタント自身も人間である以上、同じことをしてしまう可能性もあります)


初めてこの映画を観たときは「ここまで言い分が食い違うことなんてありうるのか」と思いました。しかし、社会人になって、それは起こりうるのだということを実感しました。

「藪の中」的な状況が起こりうることを知っておかないと、ものごとの見方が一面的になりがちです。たとえば、社長の言葉だけを鵜呑みにして現場を悪者扱いする、といったことが起こります。

組織内の、単一の立場にいただけでは感じることのできなかった「藪の中」的な感覚が、コンサルの仕事に携わることで感じられるようになってきます。

そのバーチャルな事前体験の場として、人間理解の教科書として、「羅生門」は一度ご覧になっていただければと思うのです。


コンサルティングは

1. 現状把握
2. 問題発見(問題設定)
3. 解決策の検討
4. 解決策の実現

というステップに大きく分けられます。よく「問題発見(問題設定)」の大切さが説かれますが(ドラッカー先生は「重要なこと、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである」と言っているそうです)、そもそも正しい「現状把握」をすることも、それも同じくらい難しく、そして重要なステップであると考えています。どんなに素晴しい問題解決法でも、そもそもの現状を正しく把握していなければ効果は上がりません。


「羅生門」については多くの専門家が分析を行っているそうですが、真相はきっと黒澤監督やそのスタッフのみぞ知ることなのでしょう。

そして、それと同じくらいに、組織の中で起こっていることを正しく把握することは難しいことだと思うのです。

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