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【良書紹介】外資系コンサルの知的生産の技術

この本がとても素晴らしいので共有したいと思います。



コンサルタントがやっている(提案書・報告書作成などの)「知的生産」の作法について、

〜按鵑箸覆襦崟鑪」
⊂霾鷦集の方法である「インプット」
思考の方法である「プロセッシング」
づ礎の方法である「アウトプット」
ド畸覆らの知識拡充の方法である「知的ストック」

の5つの観点から、99の心得が語られています。

私もコンサル業なので本書に出てくるような仕事をしていますが、経験者の目からみても「そうなんだよね~」と思い当たることが多く、有益なノウハウやヒントが満載となっています。正直、内容の的確さや鋭さに嫉妬するレベルです。私も某雑誌で仕事術的なコラムを書かせて頂いていますが、自分も負けてられないなと焦燥感すら覚えます。

[外山滋比古の『思考の整理学』などと並ぶ知的生産の古典的な名著になる可能性がある力作]というAmazonのレビューコメントがありましたが、たしかに普遍的かつ中身の深い本であり、知的生産に携わる多くの方にとって長く読まれる教科書にもなりえそうな内容です。

今回は、99の心得から3つほどピックアップしてみたいと思います。Kindle版もありますので、興味を持たれた方はポチってみてください。

【心得その9(戦略): 指示は「行動」ではなく「問い」で出す】
<引用>
>「日本のゲーム市場に関連して、なるべく沢山資料を集めておいて」というのはダメな指示の典型といえます。こんな指示を出されたらメンバーが途方にくれるか、ありったけの記事やウェブサイトのプリントアウトを前に、リーダーが途方にくれるかのどちらかになるだけです。

>この場合、出さなければならない指示は、日本のゲーム市場について「どの程度の市場規模があるのか?」(中略)「どのような市場セグメントに分けられるのか?」(中略)「各セグメントの主要プレーヤーは誰か?」(中略)といった問いに、ある程度答えが見えるような資料を集めておいて、という指示になります。

>知的生産活動に従事する管理職の大事な役割は、「ここまでやれば及第点」というラインを提示することです。(中略)筆者にいわせれば「目一杯頑張れ」などという指示はマネジメントと呼べません。

<コメント>
本書は、基本的に知的生産を行う「作業者」としての心得が書かれています。しかし、この心得はやや毛色が異なり「上司」の視点で述べられています。しかし、部下を持つ方であれば覚えておくべき内容ですし、部下の立場でも、指示が「問い」になっていなければ上司に話を振って指示内容を「問い」に作り変える、といった動き方ができます。

なお、私の場合、会議の論点も同様に「質問文にする」よう意識しています。たとえば会議のテーマが「今年度の売り上げについて」では、今年の売り上げについてであれば何を話してもよくなってしまいます。一方、「今年度の売り上げ減にもっとも影響した要素はなにか?」とか「今年度の売り上げ減に最も影響した『既存顧客の離反』の原因はなにか?」と設定すれば、議論が具体化されますし、会議の目的が達成できたかどうかを判定しやすくなります。


【心得その20(インプット):仮説は捨てるつもりで作る】
<引用>
>現場を観察する際には、仮説に囚われすぎないようにすることもまた重要です。

>仮説とは読んで字の通り、「かりそめの説」にすぎません。しかしこの「かりそめの説」が強い「思い込み」になってしまうことが多いのです。強い思い込みを持って現場に望めば、これが一次情報を取得するうえで大きな阻害要因になることは容易に想像できるでしょう。

>仮説を持つことの危険性について言及している人がほとんどいないのは本当に不思議なことです。

>仮説思考の重要性を訴えるコンサルタントの中には、プロジェクトの初期段階で顧客に受けるような驚くべき仮説をぶちあげて、その仮説を証明するのに都合のよいデータだけを集めて腕力でプロジェクトをまとめあげてしまう人も少なくありません。しかし、そのようなプロセスを経て生み出された知的生産物はファンタジーでしかありません。

<コメント>
せっかくひらめいたアイディアを捨て去る。とてももったいなく、抵抗を感じるのはやむをえないことです。しかし、偽者を本物として押し通せば、必ず後でしわ寄せがきます。

仮説が否定されたとしても、見方を変えれば「その仮説は正しくなかったという情報が得られた」と捉えればよいと思います。たとえば、「売り上げ低迷の原因は立地の悪さにある」という仮説を立てて、検証して誤っていたのであれば、少なくとも「立地は問題ではなかった」という情報が得られたことになるわけです。

※特に、先日T3のセミナーで仮説思考を学んだ皆さんには、強く念を押しておきたい話ですね。


【心得その27(プロセッシング):常にポジションを取る】
<引用>
>「日本の自動車市場において燃料電池車の市場規模は今度拡大するか?」という論点があったとして、ポジションを明確化するということは、この論点に対して「拡大する」または「拡大しない」という回答を明確に持つということです。逆に言えば、この場合「現時点ではどちらともいえない」とか「さらなる詳細な分析が必要だ」といった回答は「ポジションを取っていない」ということになります。

>よくリーダーの要件として「決断力」が挙げられますが、決断力というのは要するにポジションを取れるかどうかということです。

>知的生産物のクオリティは、異なるポジションを取る人と摩擦を起こすことで初めて高まる

>自分が証明しようとしている、あるいは反証しようとしている命題について明確なコミットメントを持つということです。コミットメントが生まれると自分の主張の正しさを証明するための努力が生まれます。この点が非常に重要で、要するに自説を明確化させると知的な粘りが生まれるわけです。逆に言えば、ポジションを明確化しないといつまで経っても「事実の整理」だけしかできないことになり、単なる評論家という立場から脱出できません。

<コメント>
こちらも「仮説思考」を身に着ける際に大切な点ですね。「わが社は中国に進出すべきか」という論点に対し「すべき」あるいは「すべきではない」と立場をとるから、それを証明しようという動くし、対立する側もそれを反証しようと動く。「どちらともいえない」では、それ以上発展しようがありません。仮説思考を習慣化したいのであれば、「とりあえず答えを置いてみる(ポジションを取ってみる)」という態度が必要と言えます。

以上

※上記の"心得27"という数字お気づきのとおり、まだ心得その30くらいまでしか読んでいません ^^;)。でも、よい本なので、必ず丹念に読み込みたいと思います。

【読書メモ】「WHYからはじめよう」を自分の仕事と人生に最大限に活かすために


TEDにて下記の動画を観て強く感銘を受けたため、その元となる書籍「WHYからはじめよう」を読んでみました。ここに読後の所感を書き連ねたいと思います(極力、読んでいない方にも参考になるように書きます)。

私が本を読んで読書メモを作ることはあまりありませんが(やっぱり面倒ですし)、今回はこのようにメモを残そう思い立ちました。それだけ本書には魅力や学びがあるのだと思います。




【メモ(1):「経営理念」ならこれ1冊!?】
以前の記事でも触れましたが、この動画はビジネスに携わる方であれば必見のプレゼンです。特に経営者やコンサルタントなど、企業の「経営理念」の設計に携わる立場にいる方には強くオススメです。自分も以前より「経営理念」という曖昧な概念について自分なりに理解したいと考え、様々な書籍を読んできましたが、本書は「もうこれ1冊でいいのでは」と思えるほどに本質をわかりやすく突いた内容となっています。

【メモ(2):ビジネス書であり自己啓発書でもある】
・本書は企業経営やマーケティング、リーダーシップ・組織論の範疇に入りますが、実は「個人」の生き方にも大きなヒントを与えてくれます。「明確な大義・理由(WHY)を持つことで、企業は顧客や世の中から支持とされる」というのが本書の趣旨ですが、これは個人レベルにも当てはめられます(実際、著者自身の「WHY」も本書で述べられています。またキング牧師の事例が本書で語られています)。その意味では、「自分株式会社」を上手く経営したいと考えている方にとってもオススメです。「自分はなぜ生きるのか、なぜこの仕事をするのか」を考え抜き明確化することが、セルフブランディングにつながり、周囲の人の心を動かす原動力となるはずです。



【メモ(3):経営理念はカネになる】
・本書を読んで考えたこと。海外はどうか分かりませんが、日本の企業の多くでは経営理念が軽んじられていると感じます。たとえば「顧客第一」と掲げているのに接客が問題だらけといった企業はたくさんあります。これは「経営理念は金にならない」と考えられているからではないでしょうか。実際に目に見える形で売上を運んでくるのはWHAT(営業などの日々のオペレーション)やHOW(戦略・戦術)ですから、そこに目が行くのは仕方ないかもしれません。しかし、本書ではWHATやHOWありきでは人の心を動かすことはできないと、事例を挙げて主張しています。「経営理念は金になる」というのが本書の大きな学びの1つです。

【メモ(4):かつて「WHY」を持っていたダイエー】
・本書の読んでいて国内企業の事例を1つ思いつきました。それは「ダイエー」です。以前、ある本で「戦後の日本人に、当時は高級品だった『肉』を食べさせてくれたのは中内さんだ」という記述がありました。ということは、当時のダイエーには「戦後の日本人に肉を(安価で)食べてもらう」というWHYがあり、だからこそ支持を得て拡大したわけです。しかし、モノが豊かになり肉が当たり前に手に入るようになった昨今、それとは代わるWHYが求められているわけであり、それを打ち出せなかったためにダイエーは凋落してしまったのだと考えられます。(この事例は「マクドナルド」を当てはめても同じことが言えるかもしれません)



【メモ(5):「WHY」の作り方】
・本書はWHYの重要性について強く語られていますが、具体的な「WHYの作り方」についてはあまり触れられていません。その点では、以前書いた「経営理念はシンプルさとユニークさを両立させなければならない」という記事が、手前味噌ですが多少参考になると思います。この記事は本書を知る前に書いたものですが、Appleの"Think Different"やスタバの"サードプレイス"が好例として挙げられているなど(この2つのWHYは本当によくできています)、本書にかなりスタンスが近いと思います。

【メモ(6):「WHY」は作ればよいというものではない】
・本書では「WHYは、その下層のHOWやWHATとの一貫性を持たなければならない」と主張されています。また、優れたWHYで成功しても、それを上手く次世代に引き継げなかったために求心力を失った企業の事例(マイクロソフト等)が挙げられています。WHYはただ作ればよいというものではなく、こういったところ(下層との一貫性や、次世代への継承)にも気を配っていく必要があります。

【メモ(7):経験価値マーケティングとの関係性】
・本書の内容は、僕が今興味を持って勉強している「経験価値マーケティング」との親和性が高いと感じました。なぜなら、優れたWHYは(Appleやハーレーダビッドソンのように)熱狂的な信者を生み出しますが、「信仰する」「尊敬する」「愛する」といった行為は、あらゆる経験の中でも満足度の高いものだからです(AKBとかジャニーズとか、何かにのめり込んでいるとき、人は幸福感を感じているはずです)。「WHY」を明確にすることで企業への求心力が高まり、顧客の経験価値が向上する。そのような関係性があると考えています。



以上、ご参考ください。

【書籍紹介】「戦略ケースの教科書」で戦略フレームワーク思考を身につけよう


先日読んだ本がなかなかよかったので紹介します。(特に戦略系の)コンサルタント志望者にはオススメできそうです。

【書名】
成功と失敗の事例に学ぶ「戦略ケースの教科書」(松田久・かんき出版) Amazonリンク


【本書の概要】
・SWOTやポーターなど、戦略論を大まかに紹介

・一方で、近年話題になっているフレームワークも紹介(ロングテール、フリー、プラットフォームなど)

・それらのフレームワークが実際にどのように活かされているか、事例を交えて説明(マクドナルド、日産、アマゾン、Apple、クックパッド、セブンイレブン…など約50事例)




【本書の対象者】
・戦略論の概論や近年の動向を大まかに押さえたい方

・それらを実際にどのように活かすのかを学びたい方。戦略論を学んではみたものの、まだ応用のイメージがつかない方

・経営者や経営コンサルタントがどのような考え方をするのかを学びたいという方、また、そういった職業を目指している方(ただし、本書は「広く浅く」なので、あくまで入門的な位置づけとしたほうがよいです)


【本書の特徴】
・300ページもあるが、各事例について4〜6ページずつで区切ってあるので読みやすい

・また、事例毎に業績やフレームワークが図解で示されていて分かりやすい

・特に時系列の業績や戦略を整理したチャートがすばらしい、よくこれだけの情報を集めたなと感心するレベル


【本書の効能】
(個人差はあると思いますが)「戦略フレームワーク」という名のメガネを、手に入れることができるはずです。SWOTやポーターといった戦略論を学んではみたものの、具体的な活用イメージがつかないでいる方。したがって自分の仕事において応用できていない方。そういう方は「事例のシャワー」を浴びて感覚を身につけていく必要があります。

その点、本書に掲載された50以上のケースを読んでいくことで、それらのフレームワークがいくらかは身体に染み込んでくるはずです。

読み終わったとき、世の中のあちこち(たとえば車内広告やCMなど)を見回すたびに「あ、この企業は強みを機会にぶつける戦略を採っているな」とか「あ、この企業は○○をテーマとしたプラットフォームを構築しようとしているな」と捉えられるようになっていることがゴールです。

そういう状態(=世の中の多くのものを「戦略メガネ」で見られる状態)になれば、世の中のほとんどの広告やビジネス情報が教材になります。そうなれば、黙っていても戦略的思考力は向上していくでしょう。

そして、言うまでもなく本書は読むだけでなく「自分のアタマで考えること」が望ましいですね。たとえばマクドナルドの成功事例を読んだら「では、次の3年を勝っていくために、自分がマクドの経営者だったらどう動くか」とか「この勝ちパターンを他の企業に応用するとしたら?」といったことを5分でも10分でもよいので考えてみる。そうすることで、本書の知識はより頭にこびりついていくと思います。


※ご案内:TCM 3期生(来年1月開講)の募集ですが、12月上旬(12/1〜10のどこか)に当ブログにてご案内する予定です。受講ご検討中の方はいましばらくお待ちくださいm(_ _)m


書籍紹介「プロフェッショナルの働き方」

今回は書籍紹介。

高橋俊介著「プロフェッショナルの働き方」(PHPビジネス新書)

【構成】

第1部 生涯第一線の時代
 1 ピラミッド組織から自立組織へ
 2 45才現場引退モデルの限界
 3 プライングマネージャーの問題
 4 一生第一線の仕事を続けられる人
 5 21世紀の仕事の特徴

第2部 プロフェッショナルの条件
 条件1 顧客と提供価値を自分で定義する
 条件2 仕事をプロフェッショナル化する
 条件3 ヨコ型リーダーシップを発揮する
 条件4 普遍性の高い学びをする
 条件5 専門性と動向にコミットする
 条件6 キャリアの背骨を作る
 条件7 行動と成長をセルフマネジメントする
 条件8 多様で開放的な人間関係を作る
 条件9 自分らしいキャリアに落とし込む
 条件10 ワークとライフを統合する


実は私が大学生のとき、同氏が大学に招かれてきて人事・組織論の講義を受け持っていました。さすが外資戦略コンサル出身だけあって、毎回そのプレゼントークに惹きつけられていました。

本書にもいくつか覚えておきたい気づきがありましたのでピックアップしておきます(あくまで私にとって気づきとなった部分だけです。また、引用しただけでは伝わりにくい部分も多いため、ある程度リライトしてあります。興味を持たれた方は本書もご参照ください)。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

・これまでの企業は「What → How → Do → Check →Action」のサイクルを分業していた。管理職が「What」(何をやるべきか)を定義して「How」(どうやるか)に分解する。現場が「Do」を担う。
 しかし変化の激しい時代においては現場レベルで「What」を定義できなければ臨機応変な対処ができなくなる
 →この「What」構築能力がプロフェッショナルとして不可欠なスキル
 →ユニクロのスーパースター店長制度は店長に権限を委譲し、What構築能力を習得させている

・自分の裁量を増やす(What構築力を高める)方法
 →その会社の「本流」から離れた仕事をやってみる。会社の命運を左右する仕事でないほうが権限を与えてもらいやすい
 →上司と異なる分野に力を入れる。そして上司からそれに関する仕事を任されるように持っていく
 →自分でWhatを構築して、上司に先手をとってぶつける

・プロフェッショナル的な仕事をしている人ほど、若いうちから↑こういう働き方をしている。チャンスを自分でたぐり寄せる自律性が、プロフェッショナルには不可欠。


・スペシャリストとプロフェッショナルの違い:スペシャリストはその存在意義自体が「専門性」にある。プロフェッショナルにとって「専門性」は(問題解決のための)手段の1つにすぎない。

・今後必要となるリーダーシップは、組織内の上下関係の「タテのリーダーシップ」ではなく、多様な人や組織を巻き込んでいく「ヨコのリーダーシップ」。

・日本のジャーナリストは45才で現場から身を引いてしまう(そうなってしまうような仕事の設計になっている。一方で海外では89才の現役ジャーナリストもいる。また、日本でも医者は90才で現役も多くいる)。高い意識を持ったジャーナリストが、生涯プロフェッショナルとして働けるビジネスモデルの再構築が、マスメディアのレベルを向上させ信頼を手にするためには必要。

・プロフェッショナル化することが向いている仕事の特徴
 (1)上司よりも顧客が大切である仕事
 (2)分業の一部ではなく、ある程度自己完結できて自分で価値が生み出せる仕事
 (3)ルーティンワークでなく、個別事情の対応など創意工夫が求められる仕事
  →たとえば医者、コンサルなどが挙げられる

・プロフェッショナルの条件1:どんな顧客にどんな価値を提供するのかが明確になっていること。たとえば青梅敬友病院は患者の最期を看取る病院であり「患者様だけでなく患者様のご家族も顧客」(これまでの介護で疲れ切っているご家族の負担を軽減することが提供価値)を定義している。

・「仕事観」の3分類

 →内因的仕事観
  →やりがい/成長/関係性/認知/仕事内容

 →功利的仕事観
  →上昇獲得型/損害回避型

 →規範的仕事観
  →社会規範:社会のために役立つこと
  →会社規範:自社を発展させること
  →仕事規範:仕事で価値を提供することに働く意味を見出す。もっともプロフェッショナル的といえる。
  →世代継承規範:次の世代に何かを伝えること(一定年齢以上になったら必要)

・ひとつひとつの仕事の経験から、(他領域へも応用できる)普遍的なことを学べる能力が必要。直接的な学びしか得られないと、環境が変わったときに陳腐化する。
 →たとえばプログラミングの仕事をしたときに「プログラミングの経験(だけ)を得た」と捉えるか、「論理的に仕組みを構築するスキルも得た」と捉えられるか?

・たとえば京都の日本料理店「菊乃井」では、若手職人に対して単に「この食材は、こう切れ」と指導するのではなく「切り口がこうだと、味が染みこみやすくなる」といった理屈まで教えるようにした。そういう「普遍的知識」を理解させることで応用力を高め、若手職人の成長スピードが上がった。


・ひとつの専門性だけで勝負するのはよっぽど才能に恵まれていないと厳しい。それよりも専門性を複数持ち、それらを組み合わせて自分らしいユニークな価値を生み出した方が差別化しやすい。

・動機ベースの能力開発(「好きだから」学び、身につけること)は悪くないが、プロフェッショナルとして長くやっていきたいのであれば、ある時点から自分の得意な部分を抑え、動機がなくても必要だと思われる能力を身につけるべき。

・必要な能力を確認するには、周囲から多くのフィードバックをもらうこと。それにより「無意識無能」が「意識無能」になる。そして努力して「意識有能」になり、継続して「無意識有能」の域に達する。

・プロフェッショナルとして苦境に耐える精神力を維持するためには「防衛機制」を成熟させること
 →未熟な防衛機制:投影、動的攻撃性、行動化、幻想
 →成熟した防衛機制:昇華、ユーモア、利他的行為、抑制

・キャリア目標を作り、そこから逆算してキャリアを作っていくことはできないが、「節目」のときだけはちゃんとキャリアデザインをしなければならない(神戸大学大学院・金井壽宏氏)


なお、上記で採り上げていない内容で「キャリアの背骨を作る」というのがあります。非常に重要な内容なのですが、それだけにちゃんと説明すると文字数がかかりすぎるのでここでは割愛します。「プロフェッショナル」や「キャリアデザイン」に関心のある方はぜひ本書をお読みください。




プロフェッショナルな診断士として通用する企画力を磨きたい方は→こちらへ( ̄∀ ̄)


研修開発における17の鉄則



インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック」という書籍を読んでみました。

(※インストラクション=「指導内容」とか「教材」みたいな意味。本書はその設計の方法を説明。)

本書の前半では「インストラクショナルデザインの鉄則」が17個挙げられています。自分なりに考え出したり、上司・先輩から教わって得てきたノウハウと重なる部分はあるものの、本書から新たに得られた気づきも多かったので、ここで共有してみたいと思います。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 


(1)何を教えるのかをはっきりさせる
 ⇒たとえば「ロジカルシンキングを教える」では曖昧でNG。「ロジカルシンキングの構成要素を教える」「フレームワークの使いどころを教える」…などのように具体化していくこと。

 ⇒インストラクションの狙いは、何らかの行動(標的行動)を起こさせること。それらは「?知識の習得」「?技能の習得」「?習得した内容の遂行」のいずれかに分類される。どれを達成したいのかを明確化すること。
 (例:「?QCDの内容を知っている」「?QCDを使って情報整理ができる」「?QCDを実務で使ってみようという意欲を持つ」)

(2)学びにコミットする
 ⇒「理解力のない生徒が悪い」といったように学び手のせいにしたりせず、教える技能の向上やインストラクションの改善に対して真摯であること。

(3)教える理由をはっきりさせる
 ⇒必要性を感じられなければ学習意欲も湧かない。たとえばロジカルシンキングなら「なぜロジカルシンキングを学ぶ必要があるのか」「学ぶとどのようなメリットがあるのか」を明確にすること。

(4)成功の基準をはっきりさせる
 ⇒どうすればそのインストラクションは上手くいったと言えるのか? を明確にすること。
 ⇒本書ではゴールの明確化のため「(理解度を測る)テスト問題を先に作ってみる」ことを薦めている。

(5)標的行動を見せてやらせて確認させる
 ⇒起こしてほしい行動、できてほしい行動の見本を見せる/実践させる
 ⇒「逆上がり」を教える授業なら、教師が実際にお手本を見せて、練習させ、習得を確認する。
 

(6)意味ある標的行動を引き出す
 ⇒たとえばコンピュータのプログラミングを教えるのであれば、実際にプログラミングをさせる演習が必要になる。こういった場合に、理論のみを板書させて終わってしまうようなことは避けたい。板書自体は意味のある標的行動(=プログラミングの習得につながる行動)とは言いにくい。
 インストラクションによって起こそうとしている行動が、本当に意義あるものになっているのかよくよく振り返る必要がある。

(7)引き出した標的行動はすぐに強化する
 ⇒「強化」=学習内容の定着や再現を促す行為のこと。単純な例としては、小学生に足し算を教えて、練習問題が解けたらほめる、など。

(8)正答を教える
 ⇒(当たり前だが)問題を提示したら、正しい答えも提示する。答えそのものではなく、答えに到達するまでのヒントやアプローチを教えることも含む。

(9)誤答を教える
 ⇒例:文法問題における例外ケース(英語の過去形で「-ed」にならない動詞など)
 ⇒また、「ありがちな間違い」「よくある誤解」を教えることは理解を深めるのに役立つ。

(10)(インストラクションの)スペックを明記する
 ⇒つまり「シラバス」「チラシ」を作成すること(それを通して概要や目的などを明確化する)。

(11)学び手を知る
 ⇒ニーズ、性格、スキル、知識量…など。指導内容を設計するうえでは言うまでもなく必須。

(12)学び手は常に正しい
 ⇒「正しい」というのは、常に「理に適っている」という意味。たとえば「飲酒運転を止めさせる指導をしたが、ドライバーが飲酒運転をやめなかった」というのであれば、(たしかにドライバー個人にも問題はあるが)「インストラクションの内容が不適切なので、それに(正しく)従った(=飲酒運転をした)」と考える。

(13)教え手を知る
 ⇒主に「インストラクション設計者≠教え手」の場合。教え手の知識、スキル、性格…などを把握しておく必要がある。

(14)学ばせて、楽しませる
 ⇒「学びがあるけど楽しくない」「楽しいけど学びがない」。どちらか一方に陥らないこと。

(15)個人差に配慮する
 ⇒受講条件を設定する、自由練習の時間を設ける…など
 ⇒例:「Excelのグラフ作成研修」を行うのであれば、「Excelの基礎知識があること」を受講条件にする必要があるかも知れない。また、グラフ作成の作業速度に個人差がありそうであれば、自由練習時間を設けたり、上級者用の演習問題を用意したりといった対応が必要になるかも知れない。

(16)「分かりました」で安心しない
 ⇒理解度を確認したければ「分かりましたか?」以外の質問で確認すること。足し算を理解したことを確認したければ、実際に練習問題を解かせてみる。

(17)改善に役立つ評価をする
 ⇒「評価」≒「理解度テスト」のこと。漠然とテストを作るのではなく、今後のインストラクションプロセスの改善に活かせるようにテスト問題を設計すること。


全てを採り入れるのは難しいと思いますが、この17個の項目について確認して可能な限り採り入れるだけでも、インストラクションの品質はかなり上がると思います。

本書の後半では、この「鉄則」を踏まえて実際のインストラクション設計のステップが述べられています。興味を持たれた方はぜひご一読ください。

「ラーメン二郎にまなぶ経営学」からコンサルの考え方を学ぶ




タイトルが示すとおり、ラーメン二郎の人気に対する分析を行い、それを通して経営学の知識を(いくつか)身につけようという本です。

したがって、本書はラーメンファンの方や経営学に興味のある方がターゲットになっていると思いますが、僕としては本書は「コンサルタント志望者」の方におすすめしたいと思います。

理由は、著者はコンサルティング会社出身であり、本書の内容というよりはその論理展開のプロセスにおいて、「コンサルタントとしての主張の仕方」を学ぶことができるからです。

本書で触れられている「経営学」はポーターなどの有名な理論がほとんどなので、たとえば診断士や受験生の方にとっては目新しさはありません。しかし、本書の文章には以下のような特徴があります。


1. 図解を駆使している

⇒文章で主張するだけでなく、それを視覚的に分かりやすく伝えるために「図解」をあちらこちらに採り入れています。人間は言語よりも画像を処理する能力に長けており、そのため短時間で深い理解を促そうと思ったら「図解」でフォローしていく必要があるわけです。



本書を読むことで、図表をどのように作り、それを文章とどのように組み合わせているかを学ぶことができると思います。


2. ファクトベースで主張している

⇒市場規模などのデータをきちんと使うことで、思いつきや独りよがりな主張になることを避けています。
 
コンサルタントが支援先企業の経営者や担当者に対して納得性のある主張をしようと思ったら、なんとなくの「感覚」ではなく「事実」に即した主張を展開する必要があります。



他の例として、ネットから大前研一氏のコラムを拾ってみますと、やはりところどころに「主張を支えるデータ」が添えられています。すべての、とは言いませんが、少なくともアクセンチュアとかマッキンゼーで働くようなコンサルタントは、このような話の進め方をしているわけです。



(現在、多くの書籍でさまざまな主張やノウハウが語られていますが、この点で不足していると感じることがあります。「個人的な体験」に根ざしているので、参考情報としては使えても、精度の高い理論として多くの読者に通じるものであるかどうかは明らかではないのです)

やや余談ですが、このようにファクトベースで語ろうと思ったら当然「ファクト情報を集めるスキル」が必要になってきます。診断士試験では、情報は文字通り「与件」として与えられてきました。80分間の試験で情報を集めてくる能力を問うことはできないですしね。

しかし、合格後の実務では、誰も情報を与えてくれないので自分で取りに行く必要があります。試験では問われないけれどコンサルタントには不可欠のスキルの1つです。

もちろん「数字いじり」に終始してしまい机上の空論に陥るようなことは避けるべきですが、多くの方に納得してもらおうと思ったらこのようにファクト(事実)で語る必要があるわけです。


というわけで、コンサルタントを志す方は本書から「図解」と「ファクトベース」というスタイルを感じ取っていただければ幸いです。

ただし、本書の最大の難点は「読んでると二郎に行きたくなってきてしまうこと」ですね。ヤサイマシマシニンニクカラメ…('A`)



【書評】「ツイッター 仕事で役立つ即効ワザ57」


献本を立て続けにいただいており、書かなければならない書評がたまっているのだけどようやく着手。

1冊目はツイッター本。「ツイッター 仕事で役立つ即効ワザ57」(日経PC21編・日経BP社)。

このブログが診断士ブログということを踏まえて述べると、コンサルタントの方が経営者の方から「twitterって何?」「我が社でもtwitterを使ってみたいのだが」などと相談されたときに備えて目を通しておくとよいのではないかと思います(これ読めば分かります、と言って渡してしまうのもアリだけど、それはちょっと優しくないかも)

本書はなかなか幅広いトピックを網羅しています。前半のアカウントの作り方から使い方、エチケット。ここらへんははじめての方向きかな。で、後半はPC&iPhoneアプリ、企業アカウントとしての使い方など。以前話題になったUCC上島珈琲の事例も掲載されているあたり、対応が早いですね。


ところで、本書でも触れられていますが、企業がtwitterを使う際に知っておくべきことを1つ挙げてみます。

それは、twitterは企業から顧客へのコミュニケーションツールでありながら、同時に企業内部のコミュニケーション事情が伺え知れてしまうということです。

企業でtwitterを使う場合には、そのトップがやるのが一番よい、とよく言われます。twitterはリアルタイム性の非常に高いメディアです。ソフトバンクの孫氏の例を見るまでもなく、発信者自身の判断で「やりましょう」などと相手に返せるのが一番よいのです。「いただいた貴重なご意見は持ち帰って(1週間くらい)検討します」なんて返事は通用しません。

トップではなく、たとえば企業の広報部などがtwitterを担当するのであれば、それなりの権限を委譲してあげる必要があります。意見を発信するのにいちいち上司のお伺いを立てていたら、フォロワーは「この会社、スピード感ない」と思うことでしょう。無難な発言しかしなければ、フォロワーは「担当者は自分の言葉で語ってないな」と見抜くことでしょう。

そんなふうに、twitterでのつぶやき方を見ていれば、企業内の権限委譲度合い、言い換えればマネジメントの性格とか器とか部下への信頼度といったものが垣間見えるんじゃないかと思います。

企業の与信調査をするときはその財務状態を調べたりしますが、twitterのつぶやき方を見ることでも、その企業の将来性を少しは知ることができるんじゃないかと思ったりします。


ふぞろいな合格答案 エピソード3


自分が受験生のときも過去2年分(当時は「80分間の真実」という名前でした)を購入して徹底的にしゃぶりつくしていましたが、今年度版は執筆メンバーの方から献本をいただいたのでコメントしてみます。


すっかり受験用コンテンツとして安定した感のある「ふぞろい」ですが、毎年、そしても今年も新しい切り口にチャレンジされています。たとえば「読む/考える/書く」というプロセス別の分析は興味深いものがあります。また、今回はファイナルペーパーなど、PDFファイルによるダウンロード特典もついています。

300ページ近い分量の中にさまざまな切り口での分析が行われており、読む人によってさまざまな使い方ができるのが本書の魅力の1つだと思います。

個人的には、特に「合格できなかった受験生の解答」を参考にしていました。「どう書けばよかったのか」は受験校の解答例をはじめとしてあちこちで手に入りますが、「どう書いたらよくなかったのか」はあまり入手できません。その点で本書では設問毎に複数の方の採点例が掲載されているので、「試験では何をやってはいけないのか」が少しずつイメージできてきたと思います。


なお、毎年のことですが、8月(1次試験終了後)になると極端に品薄になります(自分のときも、そのために複数の書店を探し回るハメになりました…)。見かけたときが買い時です( ̄ー ̄)


また、「ふぞろい」は下記のブログでも紹介されています(自分が気づいた範囲ですが)。ご参考ください。

◆本家「ふぞろい」ブログ
http://fuzoroi.exblog.jp/13997285/

◆ラブ…いや、オレユニさん
http://orange0813.exblog.jp/13482445/

◆Leoさん
http://leoshindanshi.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-b456.html

◆NOAさん
http://plaza.rakuten.co.jp/CONSULTANTNOA/diary/201006170000/



勝間和代「やればできる」を読んだ僕が限りなく上から目線でコメントしてみる


勝間和代氏の「やればできる」を読んだ。以下、読んでない方にも分かるように感想を記す。

本書のメッセージを一言で言えば、(表紙裏にも書いてあるように)「ひとり勝ちから、みんなで勝つという発想に切り替えよう」ということ。そして、そのために必要となる4つの力について本文で説明している。


【4つの力およびその獲得プロセス】

1.しなやか力(まわりに貢献できるような自分の長所の種を見つける)
- 自分の強みを見つける
- 強みを発揮できる環境を整える
- まわりの人と強みを褒めあう

2.したたか力(自分の長所を伸ばすことにひたすら集中する)
- いま自分がやっている「強みでない仕事を自覚」する
- 「マタイ効果」を意識して、集中分野を明確に定める
- 自分の強みを活かして、強いリーダーシップを取る

3.へんか力(絶え間なく変わり続ける)
- 「変化をしないことが最大のリスク」であることを自覚する
- 自分の時間の3割を、常に変化に注ぐ習慣をつける
- 変化を協力しあえる仲間をつくる

4.とんがり力(自分が力の中心になる世界に行く)
- 「とんがり力」の威力を知る
- 身近な世界で「とんがり力」を発揮する
- 「しなやか力」「したたか力」「へんか力」の3つの力をまわすこと自体を楽しむ


いい加減、この「○○力」って、たくさん出回りすぎてて食傷気味なんですが…本屋に行くと「○○力」「△△力」「■■力」とかそんなのばかり。ま、それは置いといて。


【自分にも身に覚えがある】

この「強みを活かして共に勝つ」というプロセスは、自分も身に覚えがある。

僕はこのブログを立ち上げた後、中小企業診断士の受験生ブログをまとめたポータルサイトである502教室というところに登録させてもらった。それによってアクセスが急増し、今の人的ネットワークや仕事につながっていった。

学生時代は文章や発想を褒められることがときどきあったし、コンサルタントとしての実務もしていたので多少は内容のあるブログを書けるだろうという目算はあったけれど、正直ここまでの拡がりを見せるとは思わなかった。今の人的ネットワークや仕事を、502教室なしに得ようと思ったら途方もない努力が必要であったに違いない。

このように502教室というコミュニティの力を借りて伸びる一方で、多くのブログ仲間とともに502教室を盛り上げることに貢献するという「共に勝つ」プロセスが経験できたと思う(本当、2006年当時の盛り上がりは大変なものがありましたね)


【「共に勝った」経験があるかないか?】

僕の例を挙げてみたが、こんなふうに仕事の世界においても仕事以外の世界においても、「他者の力を借りる(≠甘える)ことで自分のステージを高めた経験」がある方にとっては、本書の内容はよく言えば「共感できる」、悪く言えば「新鮮さがない」内容であると感じられるのではないだろうか。

実際のところ、この本は超・遅読派の僕が珍しく3時間程度で読み終えてしまった。これは相当内容が薄い…のではなくて、自分の体験を思い出しなぞりながら、違和感にあまりつっかえることなく読み進められたことからだと思う。

ちなみにアマゾンのレビューでもキレイに賛否両論分かれているけれど、これは「カツマ信者 VS アンチ」の構図である一方で「共に勝ったことがある人 VS ない人」の存在を反映しているんじゃないだろうか。「経験のある人」にとっては「いまさら…?」な内容に映ってしまう可能性が高く、この本に低い評価を下す書評の一部は、そういった人々なんじゃないかなと思う。

(ま、書籍なんて得てしてみんなそんなものですが。内容に身に覚えがあるなら当然新鮮さは感じにくいですね)


【"想定外のEXILE"を受け止められるか?】

逆に言えば、「経験のない人」にとっては有意義な本になる可能性が高い。上記に書いたとおり、僕も当てはまる過去の経験があると感じているし、本書の内容には大筋で賛同している。

ここでは、本書が読まれた方が、その内容に乗っ取ってめでたく行動に移した場合に(一説によると、せっかく本を読んでもその内容を実行する人は1割にも満たないんだとか)起こりうるであろうできごとについて、一言アドバイスを残してみたい。


「共に勝つ」ことが大切であると本書で述べている以上、そのとおりに行動していくとすると「他者」とのコラボは避けることができない。そして、その「他者」は、必ずしも自分の期待どおりの姿をしているとは限らない。

たとえば、勝間氏は広瀬香美氏との出会いがあって、さらに新しい世界が拡がっていったそうだ。それを読んで「じゃあ、私はYUIちゃんみたいなミュージシャンとコラボできたらいいな」と思いを描いたとする。

そう思いながら情報発信をしていたところ、YUIちゃんではなくて(たとえば)EXILEからコラボの打診が来たとする。あなたはそれをどう受け止めるだろうか?

「YUIちゃんじゃなければイヤ!」とか「こんなにいたらメンバーを把握しきれないからイヤ!」などと拒絶するか。それとも「自分のよく知らないアーティストだけれども、もしかしたらなにかおもしろいことになるか」とEXILEとのめくるめく未知の世界に期待するか。





「すべてが自分の思い通りに行かないと不愉快な気持ちになるタイプ」の人間が何割かいる(自分もややそうだけど)。そういった方は、YUIちゃんに固執して別の可能性を閉ざしてしまうという愚を、おかしてはいけないと思う。


社内でなにかしらの企画を出すときなどにも、同様のことが起こる。社内の多くの人間のアイディアを経て、当初の想定とは違った最終形になっていることがほとんどだと思う。自分の思い描いていた姿に落ち着くことはまずない。自分のイメージとは違うのだから、誰だっていい気はしない。だけど、それは「自分の思い通りになったかどうか」ではなくて、あくまで「企画自体のクオリティが高いかどうか」という観点で満足されるべきなのだと思う。


以前、高橋がなり氏は「幸運の女神は、女神の姿ではなくてボブ・サップの姿をしている」と言っていた。美しい姿をしているのではなく、吠えながらすごい勢いでタックルしてくる。それを勇気を持って受け止めなければならない。怖がって避けてしまったら、チャンスは遠くに去って行ってしまうのだ、と。

今回の主旨とはちょっと違うけれど「幸運の女神は、必ずしも美しい姿をしていない」ということはたしかだと思う。「自分の描いていた成功じゃないけど、こういったカタチの成功もあり!」と、それを受け止められるかどうかが、「やればできる人」と「やってもできない人」とを切り分けるだろうと僕は思っている。


一流の人は混沌としている。


ワタミ社長の渡邉美樹氏の著書「強運になる4つの方程式」を読みました。

文章の中から、志の高さや高潔な人柄が伝わってくる内容で、多くのビジネスパーソンが渡邉氏に憧れ、尊敬する理由がよく分かったような気がします。

本書の中から、印象に残った点を1点挙げてみます。それは「一流の人は混沌としている」という記述です。


(本書より抜粋)
・混沌=いろいろな要素が内在しているということ
・たとえば、いい加減かと思えば、非常に細かいところもある。
・たとえば、楽観的かと思えば悲観的であったりする。
・場面場面で人間が入れ替わるように、さまざまな面を持っている。その混沌さが、一流の度合いであると思っています。


これを読んで、自分が「受験生最後の日」の最後に書いた内容を思い出しました。

診断士には「バランス感覚」が求められるという話。


緊張はしつつも、動転や動揺はしない。

合格への情熱を持ちつつも、クールな頭で思考する。

直感やヒラメキを大切にしつつも、思いつきの解答はしない。

知識を活用しつつも、知識偏重には陥らない。

失点のリスクを回避しつつも、勝負どころは勝負をかける。

答案への信念は持ちつつも、決して独りよがりにはならない。

そして、常に自分に厳しくありつつも、時には自分を思いやる。

(「受験生最後の日」より)


自分の周囲の尊敬できる人、一流だと思う人の多くは、こういったバランス感覚を備えているように観察されます。一見、相反するような性格が、場面場面で表れてきます。

たとえば、

悲観と楽観。
冷静と情熱。
主観と客観。
論理と感情。
大胆と慎重。
理論と実践。
大人と子供。


渡邉氏は、それを「混沌」と表現したのではないかと思います。

ただし、それらが単に両方存在すればよいというものではありません。たとえば「悲観的に準備し、楽観的に行動せよ」という名言がありますが、「楽観的に準備し、悲観的に行動する」リーダーというのはちょっと資質を疑われてしまいます。「その場に応じて適切なキャラが出る」ということが大切かと思います。

本書を読んで、僕もそういった「混沌」でありたいという思いを新たにしました。


たとえば「マジメ」と「ER」とか…。



※ちなみに、本書は「Febe」というオーディオブックで読みました。話し言葉で分かりやすく書かれているので、耳からでも学びやすい本だと思います。その点からもオススメです(一方で、図解が多い本やカタい本などは、音声だけではやはり学びにくかったので…オーディオブックを買うときにはそのあたりも考慮した方がよいです。)。

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